「魚が獲れない日本」と豊漁ノルウェーの決定的差 漁業先進国では「大漁」を目指さない合理的理由
以下は拡大図です。世界平均で80%の人が水産物を選ぶ際に、サステナビリティを非常に重要、もしくは重要と捉えているのに対し、日本人の平均はわずか40%と段トツに低く、下から2番目のロシアでも73%です。また、まったく重要ではない、が11%もあります。この項目が2桁の国は他になく、サステナビリティ意識の面で国際的に大きく後れを取っています。
「安くておいしければいい」の危なさ
みなさんは、魚を店で買ったり、外食で食べたりする際に、その魚の資源の持続性について考えることがあるでしょうか。「こんなに小さな魚を獲って大丈夫か」「この魚は絶滅危惧種ではないのか」「密漁品ではないのか」ということより、多くの方が「安くておいしければいい」に注意が向いているはずです。魚の資源が激減して大変なことになっていることに、考えをめぐらせるのはごくわずかではないかと思います。
しかし「安くておいしければいい」という考え自体が、世界と大きくズレてしまっているのです。SDGsの14番目のゴール「海の豊かさを守ろう」で明記されているIUU漁業(違法・無報告・無規制)の廃絶についても関心が低いわが国では、そもそも発泡スチロールの鮮魚の外箱にバーコードさえない場合がほとんどです。その結果、厳格なトレーサビリティ(生産流通履歴)が確保されておらず、クロマグロ、アサリをはじめ、虚偽報告や産地偽装が後から発覚するのです。
水産資源を守り、おいしく魚を食べ続けるには、客観的な事実に基づいた「水産資源管理に関する正確な情報」を共有することが不可欠です。国民の理解が得られれば、行政も動きやすくなります。
国は「国際的にみて遜色のない資源管理」を目指しています。これに対し、世界の成功例に目を背け、水産資源を減らし続けて一番困るのはほかならぬわれわれ日本人です。
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