「世界遺産」目指す佐渡への交通、どう維持する? 船はみちのりHD傘下に、「トキエア」も就航予定

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――9月16日付の新潟の地元紙に、資金調達の遅れから就航時期が2023年3月以降にずれ込むとの記事が出た。

当初、今年7月の就航を予定していたことから、遅れていることは事実だが、資金確保が直接的な原因ではない。

――運賃はどれくらいの価格帯を想定しているか。

われわれはビジネスモデルとしてLCCを標榜しているわけではない。プロペラ機を使用することなどでコストの低減を図る一方、地元の魅力などを生かした高品質なサービスを提供していく。したがって、価格帯としては、 大手航空会社よりは相当に安いが、LCC各社との競争にはならない、その中間を想定している。

小川圭太氏
トキアビエーションキャピタル空港・地域活性化戦略室室長の小川圭太氏(写真:トキエア)

佐渡を例にすると、現在、東京から佐渡に行く場合、新幹線と船を乗り継ぐと、片道で約1万8000円だ。当社の基本的な価格ラインとしては、そこから逸脱しない価格帯を目指す。価格競争が生じるとの懸念があるかもしれないが、佐渡空港へ就航予定の飛行機は約40人乗りであり、新幹線・船とは輸送量がまったく異なるので、競合関係にはならないはずだ。

佐渡に直行便を飛ばすことでインパクトが大きいのは、時間軸の変化だ。これまで、東京から佐渡までは最短でも5時間かかり、1泊2日のツアーは組めないというのが旅行業界の常識だった。(編注:現行ダイヤで佐渡汽船利用による東京―両津港間の最短所要時間は約3時間45~50分)

【2022年10月21日09時10分 追記】東京―佐渡間の最短所要時間について注記を加えました。

しかし、直行便で東京―佐渡が1時間で結ばれれば、新たな旅行需要が喚起されるほか、ビジネスパーソンのワーケーション先としても検討されうる場所になるだろう。

そのほか、離島特有の問題の解決にもつながる。離島では医師不足が問題になっているが、片道1時間であれば週の半分は佐渡で勤務してもいいという医師がいるかもしれない。行政とも連携し、こうした問題の解決にもつなげていきたい。

佐渡空港、スムーズに就航できる?

――佐渡空港は、現在、定期便の就航がないが、スムーズに就航できるのか。空港の整備状況からすれば、この1~2年での就航の可能性は低いのではないか。

ターミナルビルを含め諸々の施設の改修・整備が必要だ。県営空港であることから、今年度から新潟県が予算計上し、就航に向けての調査を進めている段階だ。港や市街地との距離もあるため、2次交通の整備も必要となる。

次ページ天候荒れがちな冬季も安定運航は可能?
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事