またオリックスの球団公式ダンス&ヴォーカルユニット「BsGirls(ビーズガールズ)」は、球団ではなく大手芸能事務所「エイベックス」に所属し、CDも発売している。単独ライブも行うプロの芸能人なのだ。彼女たちは試合開始前やイニング間にグラウンドでパフォーマンスを披露する。そのレベルはかなり高い。プロ野球に負けないキレッキレのプロのダンスでチームを鼓舞するのが彼女たちの仕事だった。
コロナ禍で感染が拡大してパフォーマンスができなくなったグループもあった。報酬は必ずしも高くはなく、試合終了後も踊ったり、観客をお見送りしたりする仕事があるから、けっこう過酷な職業ではある。
「きつねダンス」は、従来のチアガールの踊りとは少し違い、誰でもすぐに真似ができる、わかりやすいダンスだった。また上半身の動きが中心で、座ったままでも踊ることができた。コロナ禍で、プロ野球ファンの応援は大きく制限された。大声を出すのは厳禁、球団歌や選手の応援歌も歌えない、ジェット風船もダメ、ハイタッチもダメ。できるのは手や張り扇で、音を立てることくらい。
野球ファンにとって、応援による「試合への参加」は、大きなモチベーションだったが、コロナ禍以降、ファンのフラストレーションはたまっていた。今季からフル動員が解禁されたにもかかわらず観客数が伸び悩んだのは「思い切り応援できない」ことも大きかったのではないかと思われる。しかし「きつねダンス」は、誰でもすぐに参加でき、チアガールと一緒にパフォーマンスして楽しい時間を共有できる。
ノルウェーからイルヴィス兄弟を招いてダンス
ブームは予想外の広がりとなり、福岡PayPayドームで行われたオールスター第1戦では、パ・リーグのチアガールがそろって耳と尻尾をつけて「きつねダンス」を踊った。
またオリックスのビーズガールズはPontaカードと提携していることから「たぬきダンス」を披露したりした。さらに9月に熊本で行われた独立リーグチャンピオンシップでも「きつねダンス」が踊られた。
そしてついに、9月にはノルウェーからイルヴィス兄弟を招き、札幌ドームのグラウンド中央で300人ものダンス集団と共に「きつねダンス」を踊った。このときにはフルの楽曲が演奏され、これまでなかった部分にも振り付けがされて、「きつねダンス」のパーフェクトバージョンが披露された。
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