今回のアンケートでは、2世が虐待と感じることについては「精神的・霊的な虐待」が多数を占めた。こうした外側からは見えにくい精神的苦痛に対して支援を求める声が上がった。
「自発的に信じていると思っているため『信仰の自由がない』という言葉の意味すら理解できない」
「信仰行為を強制され続ける苦痛は筆舌に尽くしがたい。法的な虐待の定義に宗教的虐待を追加し、支援の手を差し伸べてほしい」
「子どもにも信仰を選ぶ権利がある。2世を守る法律を作ってほしい」
7万筆の署名は政府に届くのか
宗教2世への支援を求める動きがある。自身も旧統一教会の2世信者である高橋みゆきさん(活動名)は、2世の救済を求める署名活動をしている。2世への虐待防止のための法律や制度整備を求めたオンライン署名「#宗教2世に信教の自由を」は、71930人(10月6日時点)の署名が集まっている。
高橋さんは9月28日、約7万筆の署名簿を厚生労働省と文部科学省、こども家庭庁設立準備室に提出。虐待が信仰に起因するものであっても、通常の虐待と同様に被害児童を救済することを求めた。
さらに高橋さんは、宗教活動の強制や幼少期からの継続的な恐怖の刷り込みも、児童虐待防止法で定義される虐待の一つ「心理的虐待」として扱うことを要望した。
「親の信教の自由は守られる一方で、子どもの信教の自由は脅かされている。法改正はハードルが高いかもしれないが、虐待被害が野放しにされる現状を変え、子どもが一人で孤立しないための制度やしくみが必要だ」
そう高橋さんは力を込める。2世当事者からは、子どもの信教の自由が侵害されているという切実な声が上がる一方、親が子どもを教育する権利も保障されている。九州大学の南野森教授(憲法学)は「そこが一番の難題だ」と話す。
「家庭の中に公権力がどれくらい踏み込めるのかという問題になる。児童虐待と同様に、虐待が疑われる、学校に行かせないなど外形的に見える部分にしか介入できないだろう」
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