東急、北海道豪華列車「3年目」の手応えと課題 運行区間の拡大には地元の協力が不可欠だ

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クルーズ列車の車内、そして各停車駅や列車が通過する沿線では地域の関係者によるおもてなし活動も充実している。

旅の舞台を盛り上げるためにはこうしたおもてなし活動が欠かせない演出となっているが、その実現には東急よりクルーズ列車が通過する主な自治体に協力要請があり各地で具体的なおもてなしの方法が練られた。

広大な十勝平野が車窓に広がる新得―帯広間では、十勝観光連盟の観光大使「とかち青空レディ」が列車に同乗しておもてなし活動を実施。2022年は根室本線沿線の新得町観光協会や幕別町観光物産協会と連携した通信販売やふるさと納税の案内が記載されたパンフレットの配布や、十勝管内の音更町内に本社を置くメーカーの小割りのチョコレート菓子を提供している。

クルーズ列車で地域が活気づく

十勝観光連盟事務局の池田路香氏は、「列車に乗車しているお客様は穏やかで上品な方が多く青空レディの話も丁寧に聞いていただけるのはうれしい」とクルーズ列車の乗客の印象を語る。

また「こうした豪華なクルーズ列車が来ると帯広駅にも見物客が集まるなど地域が活気づくし、なにより十勝地方にもお金が落ちるのはありがたい」と今後のクルーズ列車の運行継続への期待を膨らませる。

車窓からオホーツク海が見える釧網本線の知床斜里-網走間に位置する北浜海岸で窓越しのおもてなし活動を行うのは、住民有志らで結成する地域おこし団体MOTレール倶楽部だ。列車が通過するタイミングで地元漁協から借りた大漁旗や手製の横断幕を掲げながら列車に手を振る活動を続けている。代表を務める石黒明氏は「クルーズ列車が網走に来ることは市民も喜んでいる部分がある」と話し、昨年まではコロナ禍にもかかわらず各運行日ごとに100~200人の沿線住民が、2022年も車両故障による運転打ち切りなどのトラブルはあったものの、各運行日ごとに100人ほどの沿線住民が集まった。

さらに石黒氏は、こうした地域での盛り上がりを一過性のもので終わらせないためには「クルーズ列車の運行をきっかけにどう地域のビジネスを盛り上げていくのかが重要になる」と話し、今後は横断幕にホームページのQRコードを載せるなど、特産品も含めた地域のコンテンツに興味を持ってもらえるような仕組み作りにつなげていく構想をあたためている。

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