サッカー日本代表欧州組を支えるキーマンの素顔 クラブと信頼関係を構築、選手ケガ状態を共有
日本代表監督はオシム、岡田武史(協会副会長)の後、ザッケローニ、ハビエル・アギーレ、ヴァヒド・ハリルホジッチと外国人が続き、彼らが欧州視察に出向く際には津村氏も同行するようになった。年2~3回は現地に滞在。足繁くクラブを回りながら、代表招集を円滑化させるべく下地作りに尽力したのである。
実際、筆者も2019年3月に香川が移籍したばかりのトルコ・ベシクタシュを取材に行った際、強化担当から「ツムラを知ってるか。つい先日、来たばかりだ」と言われたことがある。彼はそれだけきめ細かいネットワーク作りを試みていたのである。丁寧で緻密な仕事ぶりが評価され、欧州オフィスのディレクター第一号に任命されるに至ったのだ。
欧州に人脈のない日本人監督をサポート
「ロシアW杯直前に西野朗さんが監督になるまでは外国人監督が続いたので、彼らの人脈やパイプを通じて視察やクラブ回りをすればよかった。でも、日本人の森保さんが監督になってからは、欧州に拠点を作らないとそういう活動がスムーズに進まない状況になりました。そこで欧州オフィスの設置の動きが本格化し、2020年4月の開設に向けて動き始めたんです」と津村氏は背景を語る。
ところが、2020年頭から始まったコロナ禍でオープンが延期になり、半年ズレ込んだ。「欧州がロックダウンした時期に開いたんで大変でしたね。2020年10・11月にユトレヒトとグラーツで試合をした時も、当時ブレーメン所属の大迫勇也(神戸)の招集制限があったりして対応に追われました。試合も見に行けなかったり、東京五輪の準備のためにクラブにコンタクトしても直接話ができなかったりと、本当に難しさを感じましたね。
そういう中でも選手の数は増えていったので、何をどう選んで進めべきかを日々、考えて取り組みました。一番遠くまで行ったのは守田英正(スポルティング・リスボン)が昨季まで在籍していたサンタ・クララ。アゾレス諸島は本当に遠かった。現地に住むこと自体大変で、そこで戦う選手たちをサポートすることの重要性を痛感しました」と彼はしみじみと苦労話を口にする。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら