サッカー日本代表欧州組を支えるキーマンの素顔 クラブと信頼関係を構築、選手ケガ状態を共有

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結局、日本は最後まで決め手を欠き、スコアレスドローで終了の笛を迎えたが、シュミットの急浮上、大ベテラン・長友佑都(FC東京)の奮闘など収穫もいくつかあった。

「エクアドルは本当にいいチームだった。何度も言ってますけど、自分自身は相手が強くなればなるほど価値を示せると確信している。『そろそろ信じてもらっていいですか』と言いたいです」と代表137試合を数える36歳の左サイドバックが冗談交じりに強気の姿勢を押し出すなど、本番に向けてチームのギアは一気に上がったと言っていいだろう。

長友佑都
エクアドル戦で奮闘したベテランの長友佑都(中央)(筆者撮影)

けれども、本大会まではまだ2カ月弱ある。メンバー発表が11月1日に正式決定したとはいえ、欧州組は各国リーグ戦に加え、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)やヨーロッパリーグ(EL)が週中に入ってくる選手もいて、コンディションの維持は非常に大変だ。

今回、低調なパフォーマンスで批判にさらされた南野にしても、発表まで8試合もあるため、復調のきっかけをつかむチャンスは十分にある。新天地・モナコのフィリップ・クレマン監督も「タキ(南野)は我々のハードなメニューに慣れなくて最初は苦労したが、確実に調子が上向いている」と太鼓判を押していた。チームで結果を出せば、必ず代表でも自信を取り戻すはず。周囲のネガティブな評価を一蹴してほしいものである。

南野拓実
南野拓実(左)は本調子を取り戻せるか(筆者撮影)

ドイツに居を構え、欧州組をフォロー

彼ら欧州組を支えるキーマンがデュッセルドルフの地にいることも抑えておくべき点だ。日本サッカー協会欧州オフィスの津村尚樹ディレクターがその人だ。2020年10月から現地に居を構え、50人以上いるという代表候補メンバーのフォローに当たっている。

1978年生まれの津村氏は北海道室蘭市出身。日本体育大学卒業後の2002年にコンサドーレ札幌入りし、マネージャー業務に携わった後、2007年6月に協会へ。イビチャ・オシム監督率いる代表のサポートが最初の仕事だった。

そこから代表に深く関わり、2010年南アフリカ、2014年ブラジル、2018年ロシアと3度のW杯でチーム総務を担当。長谷部や香川真司(シントトロイデン)など主力メンバーと強い信頼関係を構築していった。

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