新たな乗り鉄を発掘、北条鉄道「キハ40」導入戦略 都会人の「オアシス」的存在として期待が高まる

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終点の北条町は兵庫県内陸、加西市の中心になる町で、駅前には大きなショッピングセンターがあった。

この地域は中国自動車道が東西に通っていて、地域交通はほぼ自家用車である。大阪へ出るのに、鉄道だと北条鉄道から加古川線、山陽本線、あるいは粟生から神戸電鉄、阪急電鉄などと乗り継がねばならないが、高速バスなら乗り換えなしでアクセスできる。道路を中心に考えると便利な立地だ。

高速バスは高速道路上の「北条」バス停があるほか、始発の高速バスは「アスティアかさい」を起点にする。「アスティアかさい」とは前述のショッピングセンターのことで、つまりは北条町駅前なのだが、バス停名は駅であることに触れておらず、地域住民の足として、鉄道の利用度が低いことを思わせる。

このため、もっとも需要の高そうな北条町から大阪へは高速バスが楽で運賃も安い。では、兵庫県の県庁所在地神戸の三宮へ行くと仮定すると、北条鉄道、神戸電鉄、阪急電鉄と乗り継ぐのが一番便利となる。ちなみに、北条鉄道の運賃は第三セクター鉄道としては安価なほうで(10km360円)、距離当たりの運賃は神戸電鉄より安い(神戸電鉄は10km400円)。もちろんJRのほうが距離当たりの運賃は安いのだが(加古川線10km210円)、JRで神戸方面へ出ると加古川経由になり、距離が長くなり、かえって高額になってしまうのだ。

大阪へ出るなら高速バスが便利だが、神戸へは北条鉄道も大きな役割を果たしているはずである。

都会人のオアシス的な存在としてうまく機能

そうこうしていると、粟生駅に1台の観光貸切バスが停車、北条鉄道側では時刻表に載っていない、キハ40形ではない列車が行先表示を「回送」にして到着、間もなく行先表示が「団体」に変わった。貸切バスの乗客が北条鉄道の団体列車に乗るのだ。この列車は回送時、法華口でキハ40と交換しているはずで、早くも行き違い設備を設けた効果が表れていた。

貸切バスの乗客は「神戸から来ました」といい、「国鉄の古い電車にも乗る」といっていた。女性がほとんどで、もちろん鉄道ファンといった感じではなく、カメラではなく、皆さんスマホでしきりに車両を撮っている。

一概にはいえないことであるが、熱心な鉄道ファンは、北条鉄道のキハ40を撮るにしても、自家用車で来て、ここぞというポイントで撮影し、案外キハ40に乗る人は少ないのであろう。中国自動車道が至近なので車でのアクセスは非常にいい。

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