新たな乗り鉄を発掘、北条鉄道「キハ40」導入戦略 都会人の「オアシス」的存在として期待が高まる

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北条鉄道は関西圏からほど近い場所に位置しているという点も見逃せないが、とくに観光資源はなくても、都会人のオアシス的な場所にはなりうるという点も感じたのである。

北条鉄道の起点となる粟生駅は乗り換えが便利にできていて、加古川線両方向、神戸電鉄、3社4方向の列車が、どれも本数は少ないものの、それぞれが同じ時間帯にやってくるので、どの列車からどの列車へも待ち時間が少なく接続している。

しかし、ひとつ残念に思ったのが復路、午後に粟生から加古川へ乗った加古川線であった。やってきたのは西脇市始発の125系の単行であるが、粟生ですでに満席状態で立ち客が大勢いる。さらに厄神で大勢の客が乗車、超満員で加古川へ到着した。厄神ではお年寄りも乗車したが「お気の毒」としかいいようがなかった。

おそらく加古川線の列車の車両運用は、あまり現場を見ていない人が、運転する側の効率化を優先して決めたのではないだろうか。

小回りの良さで需要発掘?

北条鉄道キハ40の乗客は「たまにはこういうレトロな鉄道での旅もいいもんだ」と満足げな顔であふれていたのに対し、復路の加古川線は「ただただ早く加古川へ到着するのを待つ」という顔ばかり、あまりに対照的であった。

私は加古川線を毎日利用しているわけではないので、平均的なことはわからないが、小回りの利く北条鉄道に需要発掘の成果が出はじめているのに対し、大きな組織だと、需要がありながら、みすみす利用者に見限られてはいるのではと心配になったのである。

谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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