こういう話をすると「食品添加物は科学的知見に基づいて安全性が確保されたものだけが使われている」「厚労省が認可しているものだ」などという反論をよく受けます。
あたかも添加物の危険性を訴えるのは非科学的だと言わんばかりです。
しかし現実的には、添加物は「認可」と「削除」の繰り返しの歴史です。
つまり「安全なので使っていいですよ」という「認可」されたはずのものが、しばらくすると「やはり発がん性が疑われる」などという理由で「削除」される、その繰り返しの歴史なのです。これは厚労省のHPを追っていればわかることです。
また、そういう「安全性の議論」はおいておいたとしても、みなさんが実際に食品加工工場で「白い粉」を大量にバサバサッと入れる光景を見たら、たじろぐと思います。
「科学的な安全はよくわからないが、どうも『気持ちが悪い』」
「少なくとも、子どもたちには食べさたくない」
純粋にそう思う人も少なくないのではないでしょうか。その「素朴な感情」こそ、大事にすべきではないかと私は思うのです。
2022年には名古屋市立大学が妊婦9万4062人のデータを基にした研究で「市販弁当や冷凍食品を頻繁に食べる妊婦は、死産の確率が2倍以上になる」という発表がされており、『毎日新聞』も2022年5月の記事「市販弁当や冷食が多い妊婦、死産と関連か 名古屋市立大研究チーム」で取り上げています。
「リスク」を知る。「手作りのおいしさ」も見直す
だからといって、食品添加物をいっさい使ってはいけない、「市販の弁当」はやめようなどと言いたいのではありません。
「市販の弁当」は確かに便利だし、私も地方の講演などでお昼に出されれば、しっかりいただきます。昭和の世代ですから、食べ物は残せません。
私が言いたいのは、やはり「安いものには理由がある」ということ、そして「『便利さ』と引き換えに、引き受けないといけないリスク(添加物)がある」ということです。少なくともそれを「知ったうえで」食べていただきたいと思います。
そして「市販の弁当」を利用してもいいけれど、やはり中心は「できるだけ手作りを大切にしてほしい」と私は思います。
私が15年かけて開発した「安部ごはん」も、『食品の裏側』発売後、「そうはいっても、毎日忙しくて、手作りしている時間がとれない。だから、家庭で簡単にできるレシピを教えてほしい」という全国の読者の声を受けて、誕生したものです。
すべて手作りしている時間がとりづらい現代だからこそ、あらかじめ「5つの魔法の調味料」を使って用意しておけば「時短で簡単につくれるレシピ」をたくさん開発しました。「和風ハンバーグ」のレシピもあります。
加工食品全盛の今だからこそ、「安さ」「便利さ」ばかりを追い求めるのではなく、「簡単にできるレシピ」を知ったうえで「手軽に時短でできる、手作りの安心・安全、おいしさ」を、どうか今一度見直し、味わい、体感してほしいと、「食の裏側」を知る人間として、強く願っています。
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