日本人は中国人を動員する2法の怖さを知らない 国内だけでなく世界中にいる中国籍の人にも適用
小野寺五典氏(自民党安保調査会長、元防衛相):岸田首相は「非核三原則は守る」と言っているが、「持ち込ませず」について「政権が命運を懸けて決断する」との岡田外相(当時)答弁を踏襲している。言ってみれば、完全な三原則ではない。その時はその時に政府が判断をする。このことは踏襲している。
日中関係発展を阻む2つの法律
梅津キャスター:9月29日に国交正常化50周年を迎える日本と中国。祝いのイベントが開かれる一方で、日中関係を深める上で懸念もある。中国の2つの法律について見ていく。2010年施行の「国防動員法」は戦争などの有事の際、国と軍が民間人や施設などを軍事動員できると定めた法律。2017年施行の「国家情報法」は、中国政府の情報収集活動への協力を義務付ける法律で、こちらは平時にも適用される。この2つの法律は中国国内だけでなく、世界中にいる中国籍の人にも適用されるとされている。
松山キャスター:日本で生活する中国人は約80万人いるという。本人の意思とは関係なく、この2つの法律が中国政府の腹一つで適用される危険性がある。日中国交正常化50周年を迎えたいま、今後の日中関係、友好を深めるのに阻害要因になるのではないかという見方がある。
小野寺氏:非常に恐ろしい法律だ。日本にいる中国人がどんなに良い人でも、中国政府、人民解放軍から情報提供を求められたら断れない。断ったら、ある面では罪に問われ、(中国国内の)親族も大変なことになる。これは日本だけでなく、米国もそうだ。米国にも中国に対する非常に強い警戒心が出ているのは、2017年にこの法律(国家情報法)ができたからだ。2010年の国防動員法は、中国人民であれば国防につかなければいけないというもの。日本にいる中国人がある時、「あなたは中国軍として働きなさい」と言われた瞬間に、日本国内に中国軍がいるということになる。国際社会から見ても、この2つの法律は非常に大きな懸念だ。
岡田氏:国の体制が違うことを念頭に置かなければいけない。我々とは違う価値観の国だ。中国でビジネスをする日本人、中国に行く日本人はそのことを常に念頭に置いておかなければいけないのは当然だ。日本でこの2つの法律に基づいて、何かあった場合には、日本の法令に基づいてしっかりと対応する。法令が十分でないなら措置すればいい。