転職時は要注意「放置年金」110万人の機会損失 本人も気づかぬまま毎月手数料が徴収される
手続きを放置したまま加入資格喪失後6カ月が経過すれば、年金資産は国民年金基金連合会に自動的に移換される。積み立てや運用指図ができず、それまで運用されていた投資商品はすべて売却され、現金のまま管理されている状態だ。その対象者は約111万人(2022年7月末現在)に上る。
転職先が企業型DCの導入企業であれば改めて加入手続きをすれば良い。だが、未導入企業への転職や自営業者、公務員、専業主婦(夫)となる場合、そして60歳前に退職するケースでは資産をiDeCoに移すための手続きを退職後6カ月以内に行う必要性に迫られる。
確定拠出年金では保険や株式・債権などの商品を運用し、将来の年金額を運用成績次第で増やすことができる点を考えれば、手続きをせずに「宙」に浮かせてしまうのは運用機会を逸することを意味する。
自動移換後は手数料を取られる
加えて、自動移換された場合には4348円の移換費用や毎月52円の手数料が自動的に徴収され、年金資産が減り続けることになる。自動移換されたままでは年金が受け取れないため、iDeCoや企業型DCに戻す際にも1100円の手数料がかかる。
確定拠出年金の受け取り開始時期と加入期間も要注意だ。原則として加入期間は10年以上必要で、通算で条件を満たしていれば60歳から受給が可能となる。しかし、自動移換されている間は加入期間に算入されない。老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則65歳から受給開始となるが、60歳で退職して公的年金受給までの生活費に確定拠出年金を充てようと考えていても、通算で10年に満たない場合には段階的に最高65歳まで受け取りを開始できる年齢は繰り下がることになる。
2022年10月からはiDeCoとの同時加入要件が緩和され、これまで必要だった企業の規約変更がなくても併用できるようになる。セカンドライフを考えるうえでも自動移換された人、不安な人は年金資産の状況や必要な手続きを確認した方が良いだろう。
企業が中途採用を活発化させる中、2019年の転職者数は351万人と過去最多となった。転職時は次のステップに向けた準備で慌ただしいだろうが、公的年金や退職金と並ぶ「老後の資産」になる企業型DCの手続きを怠ってしまえば不利益を被ることになる。あなたは損をしていませんか?
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