8月のコアCPIは2.8%上昇、約30年ぶりの高水準 5カ月連続で日銀の目標水準2%を上回る
黒田総裁任期中は政策の変更はない
エコノミストの見方
明治安田総合研究所の小玉祐一チーフエコノミスト:
- エネルギーと食べ物が中心というところは変わりない。加工食品も伸びてきているが、ここも食料が落ち着いてくるとまた戻るかもしれないため、安定的な物価上昇ではないという日銀の見方に変化はない
- 日銀としては、現在はコストプッシュ型の消費者にとって悪い物価上昇だが、いずれは良いインフレになるかもしれないので緩和を続けるべきということだろう。黒田総裁にとっては最後にして最大のチャンスで、総裁任期中は政策を変えないだろう
- 政府は今のところ日銀のスタンスを認めている。円安がこれ以上進むなら介入もあり得るが、実際は米国の承認が得られるとは思っておらず難しい。米景気がピークアウトして円安の一服を待っているということだろう
詳細(総務省の説明)
- 8月分の消費者物価の前年比上昇は、引き続き原材料価格、輸送費、物流費、円安などが押し上げ要因
- 上昇品目数自体は総合が582品目中413品目、コアが522品目中372品目といずれも7月から減少したが、全体的な傾向として幅広い品目で上昇継続
- エネルギーは3-5月分の原油上昇を反映して電気代と都市ガス代が前月から伸び率を高める一方、補助金などの影響でガソリンと灯油は伸び縮小
- 生鮮食品除く食料の前年比4.1%上昇は、国産の豚肉や鶏肉、食パンなどの値上がりが背景
- サービス価格が前年比0.2%上昇と19年12月以来のプラスに。主因は携帯電話通信料値下げの影響はく落だが、宿泊料や外壁・塗装費も上昇に寄与
- 前月比で上昇寄与最大の携帯電話通信料は、昨年8月に一部通信会社が割安プランを導入した影響がはく落した。昨年の値下げの影響はく落は10月にも出てくる。コアで0.24ポイントの押し上げになる見通し
- 家庭用耐久財の押し上げ寄与は、原材料費の上昇などに伴って電気冷蔵庫やルームエアコンなどが値上げされたため
(詳細とエコノミストコメントを追加して更新しました)
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著者:伊藤純夫
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