スカイ再生のカギ握る「エアバス10機」の重荷 スポンサー候補があまた名乗りを上げたが
包括的な事業スポンサーとして手を挙げたANAにとって、支援のメリットは、スカイマークが持つ36の羽田空港発着枠を取り込める点だ。羽田発着枠は1枠当たり年間20億~30億円の売り上げを生む。最大1000億円相当の“利権”を獲得するため、A330をこれからどう活用するか。
ANA自身が発注している機材のうち、オプション発注分をキャンセルし、A330を使うという手はある。傘下のLCC2社はエアバス機を使用しており、こちらで使うこともできる。
一方エアアジアは、傘下のエアアジアXがA330をすでに導入しているため、親和性がある。A330の引き取り能力を訴求して再生計画に絡み、日本への再参入に弾みをつけるつもりだろう。
スポンサーに覚悟はあるか?
いずれにしても、10機を丸ごと取り込む負担は大きい。メリット・デメリットを見極め、A330全機の引き取りを見合わせる可能性もゼロではない。その場合、エアバスはA380の違約金交渉で一歩も譲らず、訴訟も辞さないだろう。その結果、債権額が膨らめば、ANAなどの事業スポンサーが出資を断念するおそれもある。
スカイマークへのつなぎ融資を引き受けているインテグラルは今後、融資を出資に振り替える方針だが、協調して出資する企業が出てこなければ、追加出資の必要性もある。名乗りを上げた事業スポンサーにどれだけの覚悟があるのか。A330の行方が再建の命運を握る。
(撮影:尾形文繁)
(「週刊東洋経済」2015年3月7日号<2日発売>「核心リポート04」を転載)
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