賃貸仲介料は本当に「家賃1カ月分」が必要か

これを知らないと新居探しで損をする

しかし、現実の取引では、借り主から1カ月分の報酬を受領し、さらに貸し主からは「広告費」と称して賃料の1カ月分の金銭を別途、受領しているケースが散見される。つまり、賃料の2カ月分相当額を取得しているわけだ。

不動産取引は権利関係や法規制が複雑なため、消費者が適正な取引に必要な情報や知識を得ることは容易でない。経験の多寡も取引の成否に影響する。これらの点で、一般の消費者が宅建業者にかなうはずはない。こうした不均衡な情報構造が、時として「不動産業はクレーム産業」と言わしめる原因を生み出してきた。

したがって、仲介業者が受領できる報酬額の上限について、その仕組みを正確に理解し、自ら知識武装することがトラブル回避の第一歩となる。仲介業者に不安を感じたら、貸し主と借り主の両方から合計でいくら手数料をもらっているのか、単刀直入に質問してみるといいだろう。正直に返答し、受領額が法定限度内であれば、1つの安心材料になる。

どうして手数料が安くなるのか

ここで「仲介手数料を割安な金額に設定している業者」に話を戻そう。こうした業者の存在は借りる側にとっては喜ばしい話だが、情報の非対称性を悪用する業者が絶えない中で、何か裏があるのではないかと悪い想像をめぐらせてしまうのも事実だ。どうして仲介手数料を無料や半額にできるのか、その仕組みが気になる。

実際に取材してみると「答えられない」という業者が少なくなかった。他方、きちんと説明してくれる業者もあった。

最初に触れた「仲介手数料無料ドットコム」の場合、掲載されている賃貸物件は取引態様が「貸し主」となっている。宅建業法では、業者自らが貸し主となって借り主を見つけても、手数料を請求することはできない。貸し主と借り主の橋渡し役となって初めて、業者は仲介手数料を請求できる。

つまり、業者が当事者(=自ら貸し主)となる取引では、そもそも仲介手数料という請求権が発生しないのだ。そのため、仲介手数料が無料になるという仕組みだ。

では、取引態様が「媒介」の場合はどうだろう。首都圏で38店舗を展開する賃貸仲介専業のアエラスグループに問い合わせたところ、「すべて貸し主から徴収することで、借り主の仲介手数料ゼロを実現している」と説明してくれた。法律上は借り主に家賃0.5カ月分の手数料を請求できるが、空室になるくらいなら「自分が手数料を支払ってでも早く借り主を見つけたい」という貸し主が少なくないそうだ。

次ページ注意点は仲介手数料だけではない
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