アプリリア「RS660」限定モデルで知る軽さの妙 2気筒エンジンと軽量ボディが生み出す爽快感
世界選手権で54のタイトルを持つアプリリアの強みはエンジンだけではない。その卓越したハンドリングバランスは、ストリート仕様でも同じく扱いやすさの極みだ。
カヤバ製のサスペンションは、このクラスとしては標準的な減衰性能を出しており、前後ともにアジャスタブルだ。オーナーの好みで、さらにハイスピードセットも可能。実際に高速道路の継ぎ目ではしなやかにギャップを吸収しており、ショートホイールベースながらもバランスがよいと感じられた。
レーシングマシンを思わせるコーナリング
このRS660のコーナリングフォースは特筆もので、ブレーキングからフロントレバーをリリースしながら寝かし込む1次旋回は理想的であった。つまり、ライダーが予測したどおりにライントレースをしていく様は、まるで超一流のレーシングマシンの動きを思い出させてくれるほど、コーナーへの飛び込みが面白い。もちろん、前段でもあるフルブレーキングの安定感も高く、ブレーキングゾーンから1次旋回〜2次旋回〜脱出という一連の流れが、前後に奢られたタイヤ「ピレリ・ディアブロ・ロッソコルサⅡ」のグリップ力とあわせてドラマティックに演出されている。
RS660のアルミ製ダブルビームフレームは、左右別々に鋳造されたメインフレームをエンジンで挟む形で左右結合し、エンジンを強度メンバーと考え組み上げられている。
また、一体鋳造で作られたスイングアーム単体は、フレームではなくエンジンに直接付けることで、最適なトラクションとホイールベース短縮に成功している。先に触れたコーナリングフォースの高さに加え、一方では直進安定性にも優れており、ライダーに不必要な負担がかかることも少なく感じた。
軽さと扱いやすいエンジン特性、コンパクトで意のままに動かせる車体に、RS660リミテッドエディションだけのラージフェアリングで、街乗りから高速道路にサーキットまで、真のスポーツライドを楽しめるマシンだ。もう1つ加えるなら、もしあなたがサーキットでのタイムアタックをするのであれば、逆シフトチェンジ対応のクイックシフトソフトウェアが標準装備されていることもお伝えしておく。
今期、MotoGPでもアプリリアワークスの活躍が印象的だ。そんな最高峰技術の恩恵を受けたマシンをストリートで楽しむための手段として154万円(税込み)は決して高くはないだろう。
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