【帯状疱疹】子育て世代で急増する意外な背景 発症した部位によっては合併症、早期治療が鍵

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「大人が水ぼうそうの子どもと接すると、水痘・帯状疱疹ウイルスに対する免疫が増強する“ブースター効果”で、帯状疱疹を発症しにくくなります。ブースター効果とは、一度獲得した免疫機能が、同じ抗原が再度侵入することでさらに強力になることをいいます。しかし、2014年から1~2歳児を対象に水痘ワクチンの定期接種が始まり、水ぼうそうにかかる子どもが激減しました。そのため、これまでブースター効果を得やすかった20~40代の子育て世代に帯状疱疹が増えたと考えられます」

水痘ワクチンとは「乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)」のことで、水ぼうそうの発症や重症化を予防できるとして、2歳までに2回の接種が推奨されている。

帯状疱疹で問題となるのは、発疹が治ったあとも残る「帯状疱疹後神経痛」だ。帯状疱疹の発症で神経がダメージを受けたことによって起こる痛みで、何年にもわたってつらい痛みに悩まされる人もいる。帯状疱疹にかかった50歳以上の約2割が帯状疱疹後神経痛に移っていくといわれるが、30代前後の若い世代は比較的少なく、帯状疱疹自体も軽症なことが多い。

発症した部位によっては合併症も

だが、それで安心というわけではない。発症した部位によっては、若い人でも合併症を起こすことがあるのだ。

帯状疱疹は体のどこにでも発症するが、顔面に発症すると顔面神経まひや視力障害などの合併症を起こすことがある。世界的に有名なカナダ出身の歌手ジャスティン・ビーバーさんが、帯状疱疹の合併症による顔面まひ「ラムゼイ・ハント症候群」の発症を公表したことも記憶に新しい。

「帯状疱疹に対しては、『アメナメビル』や『バラシクロビル』などの抗ウイルス薬で、ウイルスの増殖を抑える治療が中心になります。しかし治療が遅れると効果を発揮しにくく、重症化や合併症のリスクが上がります。発症後3日以内に治療を開始するのが理想的です」(浅田医師)

しかし実際に発症後3日以内に治療を始められるケースは、3分の1程度といわれる。

帯状疱疹は発疹が出る前に痛みが出るが、症状の程度や感じ方には個人差がある。ピリピリ、ヒリヒリ、ズキズキした痛みを感じる人もいれば、痛みはほとんどなく違和感だけがある人もいる。

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