「在宅勤務」有無で株式パフォーマンスに決定的差 出社に戻る流れだが、在宅勤務は良かったのか

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在宅勤務制度の社員や企業にとってのメリットについては、マスコミなどでもさまざま取り上げられています。特に大きなポイントとして次の3点があげられます。①業務中に周りに他の社員がいないため、電話の声などにわずらわされずに集中して仕事ができることから、企業自体の業務効率性が向上するということ、②個人机を廃止して共有にできるため、オフィスを縮小することができるため、その分の賃貸料の削減などコストカットが実現できること。そして、③通勤などの社員の負担が減るために優秀な人事確保にもつながること、です。

とはいえ、デメリットとしては、コミュニケーションや勤務管理の問題があります。出社勤務なら、ふらっと相手の席に行って相談もできますが、仕事上あまりつながりがない人に気軽にチャットで相談もはばかれるケースもあるでしょう。また、出社勤務なら、勤務時間中に“仕事しているか”まではともかく、少なくてもデスクに向かっていることのチェックは可能です。

このようなコミュニケーションや勤務管理面でのデメリットは、社員の仕事に対する誠実な姿勢や、管理者の能力、企業が良いシステムや文化を持っているなら、ある程度は対応できる部分も少なくありません。こうした優れた企業は今後、在宅勤務と出社勤務のいいところ取りを目的とするハイブリッド勤務の導入へと進む流れでしょう。

在宅勤務の有無が株式投資の参考情報に

今回は在宅勤務制度がある企業の株式パフォーマンスが優れていることを紹介しました。在宅勤務制度が業務効率性を高めて、その結果、企業評価が高まるということが好パフォーマンスの理由の1つでしょう。しかし、それ以外にも在宅勤務制度が導入できる企業のシステムや、管理能力、良質な社員がいるという自信が持てるような企業だからこそ、企業価値が向上していくと考えらえます。

そして在宅勤務制度の導入を決断できる革新性という企業文化も株式パフォーマンスが良い大きな理由となります。在宅勤務制度があるのか、そうでないかは、株式投資する際の参考情報としても注目されます。

吉野 貴晶 ニッセイアセットマネジメント 投資工学開発センター長

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よしの たかあき / Takaaki Yoshino

金融情報誌「日経ヴェリタス」アナリストランキングのクオンツ部門で、記録的となる16年連続で1位を獲得した後、ニッセイアセットマネジメントに入社。大学共同利用機関法人 統計数理研究所のリスク解析戦略研究センターで客員教授を兼任。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科(MBAコース)で経営戦略、企業評価とポートフォリオマネジメントの授業の教鞭も取る。代表的な著書に『No.1アナリストがプロに教えている株の講義』(東洋経済新報社、2017年) 。

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