バレリーナ「加治屋百合子」歳を重ねて得たもの 20年以上、第一線で活躍する彼女が語ること

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(写真:内田裕介(Ucci))

年齢を重ね、経験を積んだことで表現に深みが

── 特に今回は、誰もが名前を知っている『白鳥の湖』。女性を誘うには、うってつけかもしれません。ところで、加治屋さんは以前、インタビューで、「人は歳を重ねるごとに美しくなる」といった趣旨のことをおっしゃっていました。年齢を上手に重ねていきたいというのは、私たちの永遠の課題だとも思うのですが。

加治屋:私は“歳を重ねる”ことにネガティブなイメージがありません。自分より知識や経験のある方とお話させていただくと、とても刺激を受けます。バレリーナという仕事においても、若い頃はただがむしゃらでしたが、年齢を重ね、舞台経験や人生経験を積んだことで表現に深みが出てきて、お客様とのつながりがより密になったと自負しています。 
 
── では、そんな加治屋さんの今後の展望を教えてください。

加治屋:コロナ禍で閉じていた劇場もようやく再開しました。現役のダンサーとして踊りながら、自身の得た経験と知識を次世代に繋げるといったことを続けていきたいです。現役で踊っている今の自分にしか伝えられないことは確実に存在しますから。(文/長谷川あや 写真/内田裕介(Ucci) ヘアメイク/伊藤歌苗)

(写真:内田裕介(Ucci))
● 加治屋百合子(かじや・ゆりこ)
愛知県生まれ。8歳からバレエを習い始め、10歳の時、上海国立舞踊学校に留学。留学中の15歳の時に、ローザンヌ国際バレエコンクールに出場しローザンヌ賞を受賞。その副賞でカナダ国立バレエ学校に1年間留学。2001年、アメリカを代表するニューヨーク拠点のバレエ団アメリカン・バレエ・シアター(ABT)の研修生となり、翌2001年に入団。2007年にソリストとなる。2014年7月にアメリカ5大カンパニーのひとつヒューストン・バレエ団に移籍し、同年11月にプリンシパルに昇格。2020年にコロナの影響によりバレエ団が一時休止すると、日本人アーティストを支援する活動を立ち上げ、収益金の全額を寄付した。2021年には芸術各分野において優れた業績を挙げた人に与えられる芸術選奨文部科学大臣賞(舞踊部門)を受賞。現役のダンサーとして踊る傍ら、国内外の公演に客演、また、ワークショップの講師としても活躍している。 

 

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