中国の習近平国家主席は昨年、テクノロジー業界に対する締め付けを強化するとともに、自国経済を担う有望な若者たちの雇用危機を悪化させた。
罰則を伴う一連の規制や企業買収・新規株式公開(IPO)凍結に加え、かつての急成長が止まったことで、アリババグループやテンセント・ホールディングス(騰訊)、小米といった業界を代表する企業が今年に入り大量解雇を始めた。
雇用情勢が短期的に好転するとは期待できず
こうした人員削減は、最大かつ最も人気の高い就職先であるテクノロジー業界がこれまで果たしてきた役割を根本的に変え、深刻な結果をもたらす可能性がある。今年は1100万人近い新卒者が労働市場に加わる見通しだが、業界はかつてのようなエキサイティングかつ稼げるキャリアの道を提供できなくなっている。16-24歳の都市部失業率は約20%と過去最悪の水準にある。若者の5人に1人が失業している現状では、多くの新卒者も職にあぶれると見込まれる。
中国経済、次のリスクは若年層の雇用危機深刻化-5人に1人が失業
厳格なロックダウン(都市封鎖)などで新型コロナウイルスを徹底的に抑え込む「ゼロコロナ」政策を習政権が堅持し、ハイテク各社が赤字に歯止めをかけようと苦しんでいる状況を踏まえると、雇用情勢が短期的に好転するとは期待できない。
情報サイト「layoffs.fyi」によると、中国の2大インターネット企業、アリババとテンセントは今年4-6月、計1万4000人を超える従業員を解雇。テクノロジーセクター全体のレイオフの4割近くを占める大掛かりなリストラだ。