習規制とゼロコロナが生み出す若年層大失業時代 高失業率が長期化すれば社会的安定を脅かす
社会的・経済的安定に対する一段の重しになる
ナットウエスト・グループの中国担当チーフエコノミスト、劉培乾氏は「ゼロコロナ政策がまだ実施されている一方で、労働市場に加わる大卒者が増える」ため、高水準の失業率が7-12月(下期)も続く可能性があると予想。 テクノロジー企業は長い間、意欲的な働き手を受け入れてきたが、それが止まると経済が不安定になる恐れがあるとし、「失業率が長期間にわたり高止まりすれば社会的・経済的安定に対する一段の重しとなるかもしれない」と述べる。
昨年は多くの企業が大量解雇を回避した。コロナのパンデミック(世界的大流行)を好機と捉える企業が活況を呈し、政府が最終的に手綱を緩めるという期待があったことも一因だ。確かに当局は今年序盤、規制を緩和したが、同じ時期に世界的に景気が低迷し、中国全土でコロナ疲れが始まり、多くの企業が中期成長見通しを取り下げた。
「残酷な現実」
公式データでの立証は困難だが、テクノロジー業界で満足していた職から追い出された若者の話には事欠かない。テンセントは約10年ぶりに人員を削減。モバイルゲーム開発に携わっていた27歳のアマンダさんは解雇された約5000人のうちの 1 人だ。
中国企業として時価総額最大で、かつては中国初の1兆ドル(約139兆円)企業になる可能性が最も高かったテンセントだが、新しいゲームの認可を約1年受けていない。アマンダさんによれば、彼女のチームでは約3分の1に当たる20人余りが突然解雇された。テンセントはその後、四半期売上高が初めて前年同期比で減少したと発表した。
中国テンセント、初の四半期減収-従業員数を5%近く削減
テンセントは好業績の「ピースキーパーエリート」や「王者栄耀(オナー・オブ・キングス)」を担当するチームでも規模を縮小しているとアマンダさんは説明。「テンセントでさえ、こうした弱い経済を乗り切ることができないとすれば、他の企業はどうすれば生き残れるのか」との疑問が湧くという。アマンダさんは姓を明かさない条件で取材に応じた。