大手損保3社のビッグモーターへの対応が及び腰に見えるのは、自動車保険をそれぞれ数十億円も売ってくれている大型の保険代理店であり、各社の営業成績に与える影響を無視できないからだろう。
損保ジャパンがビッグモーターの主張をほぼ丸のみし、早期の幕引きを図ろうとした7月以降、「東京海上と三井住友海上の自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)を扱わないという通知が社内であった」(ビッグモーターの関係者)という。これは、ビッグモーター側に水増し請求をこれ以上深く追及して来ず、水に流してくれそうな保険会社とだけ付き合おうとする素振りのように映る。言い方を変えれば、厳しく調査を求めるべき損保が振り回されているわけだ。
金融庁も損保各社の今後の対応を注視
ビッグモーターをめぐる組織的な不正請求の疑惑について、損保ジャパンから報告を受けている金融庁のある幹部は、「必要十分な調査をしたうえで、組織的関与はないと判断し幕引きしたのだと思っていた。彼ら(損保ジャパン)の当初の説明内容と現状がだいぶ異なっている。改めて確認したい」と憤慨した様子で話す。
そもそも板金事業における水増し請求といった不祥事案は、保険業法上の報告義務がない。損保ジャパンは監督当局に対する任意の報告であることを逆手に取り、最小限の説明で幕引きを図ったとみられる。だが、金融庁は関心を強めているだけに、ビッグモーターをめぐる一件は早期の幕引きとはならず、今後大きな問題に発展しそうな気配だ。
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