悪質な「盗り鉄」、どんな鉄道部品が狙われやすい? 営業時間中に車両から取り外して持ち去る輩も

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現在ではメルカリやヤフオクといったサイトで、インターネット上で個人売買ができるようになり、これらのサイトにも鉄道部品が多数出品されている。インターネットによって、鉄道部品を入手する障壁が下がっているが、逆に多くの人の目に触れる機会も増えた。鉄道会社側も、大手の会社を中心に転売には目を光らせていて、怪しい品物は通報され、盗品と発覚した場合は通報されて御用となる。これは身内の不正を取り締まる形にもなり、過去には会社の支給品や持ち出しが厳しい部内の資料が出品され、出品した人間が処分される事態も起きている。

筆者はインターネットが広まる前から鉄道部品に手を出していたことがあったが、そのころの情報源は口コミに近かった。鉄道部品に詳しい先輩から情報をもらったものだが、なかには盗品やレプリカ・偽物の情報もあり、「あの部品は盗品だから手を出すな」とか「あのブルートレインのヘッドマークは偽物」などと教えてくれたものだった。

インターネット上で部品の入手が可能となった頃も、真贋のほどが分からず「ネットで出品されている〇〇は本物ですか?」と先輩に問い合わせたこともあった。あとは要注意人物の情報で、「盗り鉄」のように、部品を手に入れるためなら手段を問わない人もいて、関わりを持たないようにと教えられた。

鉄道部品はどう使う?

鉄道部品の使い方もさまざまで、座席を買ってきて自宅の家具として使用するとか、運転台の部品を一式そろえて改造し、鉄道模型を動かすために使用するといった使い方もされる。最近では自宅で鉄道のシミュレータを造り、そのための運転台として本物の部品を購入する人も居るのだという。

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筆者もバス用の方向幕を巻取器ごと購入し、鉄道模型用の電源を接続して稼働させたこともあった。だが、上には上がいて、乗務員が操作する行先の設定器(指令器)の廃品を購入し、鉄道用の巻取器に方向幕をセットして稼動させてしまう人もいて、技術力とモチベーションには感心させされる。

鉄道部品は廃品であっても高額である一方、持ちきれないのも確かだ。筆者も置き場と経済的な理由で鉄道部品の世界はギブアップし、手持ちの鉄道部品はほとんど処分してしまった。だが、戴き物の部品を1つだけ手元に残している。それは自分の名字と同じ名前の駅名標で、自宅の表札にも使えるのではないか?と考えたが、お世話になったから方から戴いた駅名標が「盗難」に遭うのも嫌で、家の中にしまい込んでいる。

柴田 東吾 鉄道趣味ライター

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しばた とうご / Tougo Shibata

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR・私鉄路線は一通り踏破したが、2019年に沖縄モノレール「ゆいレール」が延伸して返上、現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。『Rail Magazine』(ネコ・パブリッシング)や『鉄道ジャーナル』など、寄稿多数。

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