悪質な「盗り鉄」、どんな鉄道部品が狙われやすい? 営業時間中に車両から取り外して持ち去る輩も

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私鉄では列車の前面に取り付けるものもあり、方向版などとも呼ばれるが、こちらもサボとともに行先表示器の台頭で見かける機会が少なくなった。これに付帯して、1号車・2号車といった車両の表示(号車表示)や「急行」といった種別を表示するものもあり、中には「急行 津軽」といった、列車名が入ったものもある。

銘板は車両の製造所(メーカー)や、鉄道会社の名前、車両を改造した場合には改造を行った工場などの名前が入ったプレートだ。車両の外には鋳物製のものが、車内にもアクリル製のものが取り付けられることが多く、最近ではシールで代用されることも増えた。

銘板も時代によってデザインに違いがあり、名称の変更やなくなってしまったメーカー・工場もあるので、これも凝りだすと切りがない。

どのようにして盗むのか?

さて、「盗り鉄」はどのようにして部品を盗んでいくのだろうか。先の通り、災害で運行を見合わせる列車から盗むというのもよくある話だが、引退間際の車両は狙われやすい。一例として、営業をしていない夜間の駅に勝手に侵入し、留め置かれている列車から部品を盗んでしまうのだ。駅の事務所は売上の現金を保護するために警備が厳しいが、駅のホームは踏切から侵入ができてしまう。だが、最近は防犯カメラの性能が良くなっていて、警察に捜査を委ねれば足がついてしまう。

それと、意外と多いのが営業時間中で、日が暮れた後に人気の少ない列車から方向幕・サボ・銘板といった部品を取り外して持ち去ってしまうのだ。方向幕などはトイレの中に行先表示器を備えている車両もあり、用を足すふりをして行先表示器ごと盗んでしまう手口もある。

最近では、鉄道会社が対策を行っていて、引退間際の車両では車内の銘板類は取り外してしまうことがあるという。ある鉄道会社では、引退間際の車両で行先表示器の使用を取りやめてしまった事例もあったが、これも盗難対策という話を耳にした。もっとも、これは当該の行先表示器の使用頻度が低かったからできた話だろう。

SLブームとその余韻があった頃は、蒸気機関車からナンバープレートが盗まれるということもあった。全国各地の公園などで蒸気機関車が保存されたが、保存された機関車からナンバープレートを持ち去ってしまうのだ。ナンバープレートも人気が根強く、最近では電気機関車やディーゼル機関車のナンバープレートにも高額な値段が付く。

さきに車内の銘板にも触れたが、車内にはアクリル製のナンバープレートもあり、これもよく盗まれる部品の1つだ。

また、部品が盗まれるのは車両だけでなく、廃止された路線から駅名標が盗まれることもある。その一方で、駅名標はデザインの変更や老朽化に伴う取替などで交換が行われ、車両の部品と同じく、使い古したものが販売されるのもよくある話だ。

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