年収400万円のあの人も残業代ゼロになる日

「1000万円プレーヤーだけ」と思ったら大間違い

この残業代ゼロ法案がひとたび成立してしまえば、後の法改正でその対象を広げる、つまり年収要件を下げていく方向に動いていく可能性は十分に想定される。

この議論は過去10年にわたって繰り返されてきた。発端は2005年。日本経団連が表明した「ホワイトカラー・エグゼンプションに関する提言」にその考えが示された。当時そこにまとめられた残業代ゼロ構想の理想型は、「年収400万円以上で時間の制約が少ない頭脳系職種、つまりホワイトカラー労働者をすべて残業代ゼロにすること」だ。

経団連の意図はこうだ。「総務や経理、人事、企業法務、ファイナンシャルプランナーなどのホワイトカラー労働者の場合は、労働時間の長さと成果が必ずしも比例しないため、工場労働者がモデルとなっている現行の労働時間規制はなじまない。ホワイトカラーの生産性を上げるためには、年収や年齢で対象者範囲を限定せずに、労働時間規制を外すことが望ましい」。

際限のない長時間労働を強いられかねない

残業規制を外すことで懸念されるのは、残業代が削られるだけでなく、現実に“自分の裁量で働き方が調整できる”というホワイトカラー労働者でなければ、際限のない長時間労働を強いられかねないことだ。残業代ゼロ法案については、労働組合や法律家団体などが反対の姿勢を表明している。

そもそも現行の法制度の下で「時間ではなく、成果で評価する」ことはできないのだろうか。実はそれは問題なく可能であり、現に成果主義を採用している企業は数多く存在している。そもそも、賃金をいかなる体系で決めるかどうかは、各企業がさまざまな観点から工夫をして制度を導入している。

月給制の企業であっても、営業職では歩合による賃金を定めていたり、ボーナスでは業績に応じて各労働者の賃金に差を設けていたりするのはよくあること。極端な言い方をすれば、最低賃金を下回らない限り、どのような賃金体系をとろうと法的には全く問題はない。

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