子どもを水難事故から守るために知っておくこと なぜ手を挙げて大声で助けを呼ぶのはNGなのか

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海で気をつけるポイント

・離岸流を見極める

離岸流とは、海岸から沖合に向かってできる流れのことです。岸に打ち寄せた波が、周辺より水深が深い場所を通って沖に戻る現象です。海水浴場の溺水事故の60%が離岸流によるものだと言われています。

離岸流が発生している場所は、周囲に比べて白波が立っていないため、穏やかな場所だと勘違いしてしまいがちです。テトラポッドなど岸から直角に作られた構造物の側面は、離岸流が発生しやすくなっています。

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離岸流を見つけるポイントは、ゴミが集まっているかどうかです。

岸に押し寄せた波が集まり離岸流となっているため、海藻や漂流物が集まり、沖に向かって流れるのです。ですので、ゴミが一直線になっている場所があれば、そこに離岸流が発生している可能性は高いです。

また、離岸流が発生している場所は、砂が巻き上げられ海水が濁っていたり、砂が掘られていたりします。

離岸流に流されたら、その流れに逆らって泳ぐことは困難です。まず離岸流から逃れるため、その流れに対して真横に泳ぎます。そして離岸流から抜けられたら、岸に向かってまっすぐに泳ぎます。

・陸風に気をつける

海岸に吹く風は、陸風と海風に分けられます。陸風は陸から海に向かって吹く風、海風は海から陸に向かって吹く風です。

小さい子どもが浮き輪やボートに乗っていると、陸風に吹かれてあっという間に沖合に流されてしまうこともあります。大人がお酒を飲んだり会話に夢中になって、子どもから少し目を離した隙に、遠い距離まで流されることもあります。

ビーチボールなどが陸風に吹かれて沖合遠くに飛ばされた際には、無理に追いかけるべきではありません。自分も陸風によって、遠くに流されてしまう可能性があるからです。

以上のことを踏まえ、川や海遊びを安全に楽しまれてください。

菅原 優 水泳教育者

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すがわら ゆう / Yuu Sugawara

水泳教育者。Swimmy(株)代表取締役。1987年、広島県生まれ。東京学芸大学教育学部生涯スポーツ専攻卒業。「水泳は子どもの生きる力を育む」をテーマに、14年間水泳指導を行う。スポーツ庁委託事業やクラウドファンディングにて、発達障がい児を対象とした水泳教室を開催。同時に東京学芸大学と発達障がい児の水泳に関する共同研究を実施する。映画『流浪の月』で水泳指導を担当。NHK大河ドラマ『いだてん』に出演するなど俳優としても活躍。NPO法人スーパーダディ協会に所属する、1児のパパでもある。著書に『子どもに必要な能力はすべて水泳で身につく』(かんき出版)がある。

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