スコットランド「生理用品の無償提供」踏み切る訳 コロナや物価高で「生理の貧困」問題が深刻化

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スコットランドでは生理用品の無償提供が始まった一方、アメリカの一部の州ではタンポンなど生理用品にかかる州の消費税を撤廃しようとする動きもある(写真:Richard Levine/Corbis via Getty Images)

議会が画期的な法案を承認してから約2年、ついにスコットランドでは生理用品が必要な人は誰もが無料で手に入れられるようになった。

この措置により、スコットランドは生理用品を無償で提供する世界初の国となった。これは「生理の貧困」つまり、法外な高額費用のためタンポンや生理用ナプキンが購入できないという状況、を終わらせるための世界的な取り組みの一環だ。

「生理に対する不当な扱いは容認されない」

2020年に生理用品法の草案を提出したモニカ・レノン議員は、スコットランドは生理用品を無償で提供する「最初の、しかし最後ではない」国になれるだろう、ツイートした。

「私たちは、生理に対する不当な扱いはもはや容認されないという、極めて大きな文化の変化を目の当たりにしています」レノンはニューヨーク・タイムズの取材に対してメールでこう返信した。「生理のウェルビーイングがより強調され、医療的女性蔑視への取り組みに新たな焦点が当てられます」。

北アイルランドも同様の法律を検討しているほか、ニュージーランドと韓国・ソウルでは学校で生理用品の無料提供を行なっている。「こうした動きは、わが国が生理用品の無償化を法制化する最後の国にはならないだろうという希望を与えてくれる」とレノンは述べている。

スコットランドのショナ・ロビソン社会正義担当相は、レノンと同様の考えを示した。

「生理用品の無償提供を行うことは、平等と尊厳の基本であり、また、生理用品を手に入れる際の経済的障壁を取り除く」。彼女は声明でこう述べた。生活コストが上昇し、多くの人々が難しい選択をしている中、「生理用品が購入できない状況には誰にも陥ってほしくない」と彼女は付け加えた。

スコットランドで2020年に制定されたこの法律は、学校や大学などの公共施設でタンポンや生理用ナプキンを無料で使用できるようにした以前の法律に続くものだ。

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