気象災害から鉄道を守る「手だて」はあるのか 東北を襲った豪雨、九州の例から学べる?

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8月3日から4日にかけて降った大雨で崩落したJR磐越西線の喜多方駅から山都駅間の鉄橋(8月9日、写真:時事)

近年は異常気象の影響から災害に見舞われる日本列島。特にゲリラ豪雨や大型台風がもたらす水が関連する災害が多くなっている。

8月3日から東北地方を中心に襲った大雨の影響で、磐越西線、米坂線、奥羽本線、五能線、花輪線などで、路盤流出や線路設備の損傷など、大きな被害が出た。特に磐越西線に関しては、喜多方―山都間にかかる鉄橋(濁川橋梁・全長約250m)が崩落してしまった。

被災後、そのまま運休となる例も

濁川橋梁は、磐越西線の一部として明治37年から使われており、石橋脚という歴史的価値のある構造を採用していた。この鉄橋崩落により、通勤通学に甚大な影響が出ているほか、これから観光シーズンを目的に運行されている「SLばんえつ物語」号の運行にも大きな影響が出そうだ。復旧には相当な時間を要することと、多額の費用がかかる。運休中はバス代行を行う区間もあるが、そんな地域の足を守るにしても、途方もない労力である。繰り返される災害により 、山間部や沿岸に近い場所を走る鉄道では、長らく運休が続き、場合によっては、そのまま廃線になってしまう例も少なくない。

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記憶の新しいところでは、2017年7月の九州北部豪雨で被災した日田彦山線(添田―夜明間)・宝珠山―大鶴間の盛土流出、久大本線・光岡―日田間の花月川橋梁の損傷などが挙げられる。ちなみに日田彦山線・添田―夜明間の被害状況はじつに63カ所も出ており、復旧費用には約56億円がかかってしまう。また復旧後も赤字の運営が続いてしまう懸念があり、JR九州と地元の間で協議が続けられた結果、BRT(バス高速輸送システム)転換が決まった。今後は「日田彦山線BRTひこぼしライン」として、2023年夏の開業が予定されている。

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