できる上司ほど「ダメ出し」が少ない納得の事情 「叱られたくない」という不安な気持ちに寄り添う

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この2つの文章は、部下がクライアントと成約したことに対してのフィードバックです。出だしの言葉、内容も同じで、前半と後半の文章をつなぐ言葉が「BUT(〜でも、しかし〜)」といった逆説を示すものか、「AND(そして〜)」と、肯定的に続けるものかが違うだけなのですが、受ける印象が大きく違うのではないでしょうか?

「BUT」を使うか「AND」を使うかは、その人が事象をどう捉えているかが表れます。

  • 将来の可能性を信じることができなければ「BUT」
  • 将来の可能性を信じることができていれば「AND」

必然的にポジティブフィードバックの際は、部下の可能性を信じることから始めるため、「BUT」は使いません。部下にフィードバックを行う際、「BUT」が出てきそうになったら、「AND」に切り替えましょう。そうすることで、続く言葉もポジティブに変わります。

同じことを言っても大きな違い

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「言葉使いや言い方をポジティブにしよう」と少し意識するだけでも、自然と口調も言葉も変わり、同じことを言っても、受け取り側にとっては、大きな違いが生まれます。

ネガティブなことをネガティブな表現で伝えてしまうと、部下がポジティブに切り替えることができず、思っていた方向に進めなくなってしまうことがあります。上司が伝える段階で、ネガティブな内容を言葉使いや言い方を意識してポジティブにしてしまうことで、こうしたリスクが減ります。

フィードバックのときだけでなく、日々の会話から、ポジティブな伝え方を意識してみてください。日々のコミュニケーションも変わっていくのが実感できるはずです。

ヴィランティ 牧野祝子 国際エグゼクティブコーチ

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ヴィランティ まきの のりこ / Noriko Makino Vielanti

東京生まれ。ミラノ在住。コロンビア大学、INSEAD(インシアード・欧州経営大学院)MBA 卒業後、国内外10 か国で、外資系の戦略コンサルタント、多国籍企業のマーケティング、新規事業の立ち上げ等、様々なキャリアを積む。
様々な文化、考え方、事情を持つメンバーが一緒に仕事をして結果を出すには、個々の良さを引き出し、最大限活用できる環境をつくることが必要だと考え、ポジティブフィードバックを実践し始める。
現在は、独立し、国際エグゼクティブコーチ、企業研修講師、コンサルタントとして活動。企業から依頼を受け、経営者、リーダー等にポジティブフィードバックをはじめとするビジネススキルを伝授している。

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