「カレー工場→バンド」障害者が見つけた居場所 「誰とも話さずカレー粉を詰める毎日はイヤだ」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――「なにかあったら危ない」からですか?

それもあるけど、ほかの作業所は3時か4時に仕事が終わって、すぐに家に帰って家族とご飯を食べるから、打ち上げをしたりみんなとご飯を食べる機会がない。家族以外と接するチャンスがないんです。「虹の会」は忙しかった日は、おつかれさま会をするし、新しい人が来たら歓迎会もする。自分から誘うときもある。

メンバーと飲み会を開くイノウエさん(右から2人目)(写真:弁護士ドットコムニュース)

――「虹の会」は地域の方とも交流が深そうに見えます。

ここに来るまではバスやスーパーで嫌な対応をされることもあったけど、「虹の会」はずっとここにあって地域の人もよく知っているから、声をかけてくれるしあいさつもします。それがうれしい。みんなが自分たちみたいに、障害者でも楽しく暮らせるって知ることができたらいいのにと思う。

生きていて楽しいことがあると知るチャンスがほしい

――実家を出て1人暮らしをしているメンバーも多いですよね。

ほかの団体は基本的にみんな実家から通っていて、親と指導員さんの間でノートや手紙のやりとりがあって、給食やご飯の内容にまでチェックをいれて決められてしまう。うちは親との連絡帳自体がないし、家を出て地域で1人暮らしをする人が多い。自分も実家から出て自立をしました。最初はご飯も掃除も介助者に付き添ってもらって、覚えるのが大変だったけど、今は1人で全部できるようになった。自分で選んだ服を着て、好きな色に髪を染めて、好きなご飯を選ぶ。自由に暮らすことができるんです。

――世間では当たり前だと思っていることでも、イノウエさんたちにとって当たり前ではなかったことの多さに改めて気づかされました。現在、イノウエさんが願っていることはありますか。

声をかけてくれる人がいたり、雑談をしてくれる人がいるだけで生活が全然違う。そういうことができる人が増えていったら、こんなに明るい人生にできる。今の自分は楽しいことがあるって知っている。前はそれにも気づけなかった。みんなに、生きていて楽しいことがあるんだって知るチャンスがあってほしい。

(成宮アイコ)

弁護士ドットコムの関連記事
「オレたち殺されるために産まれてきたの?」 障害者像ぶち壊すバンド・スーパー猛毒ちんどんが「強烈すぎる歌詞」に込めた思い
職場サンダルで4人が転倒した「魔の外階段」、地裁と高裁で「会社の責任」が割れたワケ
「仮面女子」猪狩ともかさんの看板下敷き事故、「国の責任」を認めない判決が確定

弁護士ドットコム
べんごしどっとこむ

法的な観点から、話題の出来事をわかりやすく解説する総合ニュースメディアです。本サイトはこちら。弁護士ドットコムニュースのフェイスブックページはこちら

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事