――「なにかあったら危ない」からですか?
それもあるけど、ほかの作業所は3時か4時に仕事が終わって、すぐに家に帰って家族とご飯を食べるから、打ち上げをしたりみんなとご飯を食べる機会がない。家族以外と接するチャンスがないんです。「虹の会」は忙しかった日は、おつかれさま会をするし、新しい人が来たら歓迎会もする。自分から誘うときもある。
――「虹の会」は地域の方とも交流が深そうに見えます。
ここに来るまではバスやスーパーで嫌な対応をされることもあったけど、「虹の会」はずっとここにあって地域の人もよく知っているから、声をかけてくれるしあいさつもします。それがうれしい。みんなが自分たちみたいに、障害者でも楽しく暮らせるって知ることができたらいいのにと思う。
生きていて楽しいことがあると知るチャンスがほしい
――実家を出て1人暮らしをしているメンバーも多いですよね。
ほかの団体は基本的にみんな実家から通っていて、親と指導員さんの間でノートや手紙のやりとりがあって、給食やご飯の内容にまでチェックをいれて決められてしまう。うちは親との連絡帳自体がないし、家を出て地域で1人暮らしをする人が多い。自分も実家から出て自立をしました。最初はご飯も掃除も介助者に付き添ってもらって、覚えるのが大変だったけど、今は1人で全部できるようになった。自分で選んだ服を着て、好きな色に髪を染めて、好きなご飯を選ぶ。自由に暮らすことができるんです。
――世間では当たり前だと思っていることでも、イノウエさんたちにとって当たり前ではなかったことの多さに改めて気づかされました。現在、イノウエさんが願っていることはありますか。
声をかけてくれる人がいたり、雑談をしてくれる人がいるだけで生活が全然違う。そういうことができる人が増えていったら、こんなに明るい人生にできる。今の自分は楽しいことがあるって知っている。前はそれにも気づけなかった。みんなに、生きていて楽しいことがあるんだって知るチャンスがあってほしい。
(成宮アイコ)
