ダイハツ「ウェイク」がたった1世代で終わる事情 タント上回る高さ183cmの大空間も決め手ならず
運転席に座ると、視界の高さが明らかだった。極端にいえば、大型トラックの運転席に座ったときのような、感動があった。
一方で、運転した際の重心の高さによる心もとなさは、やはり残った。重心を1cm高くなる程度に抑えたというが、実は1cmはけっこう大きな影響が及ぶ。ウェイクより車高の低いタントでさえ、街角を曲がるような低速でも頭上の重い印象があり、そこからさらに背が高くなれば、操縦安定性に影響が出るのは当然だと思った。
背が高すぎて走行安定性には不安も
日常はもちろん、広い室内を利用して郊外へ出かけるにしても、安定性に不安を覚える走行性能では、目的地に着くまで神経を使うことになるだろう。
軽自動車は、車体寸法に制約があり、その中で、全高については2mまでの猶予がある。その高さを生かして新たな商品を生み出したのが、ダイハツでは「ムーヴ」であり、スズキの「ワゴンR」だった。
その経験を踏まえ、さらに背を高くしたのがダイハツではタントであり、スズキは「スペーシア」、そしてこの分野で王者となったホンダ「N-BOX」だ。子育てする若い家族に人気を呼んだ。今日も、販売台数の首位はN-BOXに奪われても、タントの人気は維持されている。だが、ウェイクは背を高くしすぎたというのが、1台限りでの終焉につながったのではないかと私は考えている。
軽自動車の商用車では、ダイハツにハイゼットカーゴがある。こちらの車高はさらに高く、189cmだ。仕事で使うクルマだけに、騒音や乗り心地は、乗用車のように快適ではない。しかし、その乗用車版としてアトレーがある。1981年から長い歴史があり、仕事も視野に乗用車の乗り味を求める人にとって、アトレーはなじみがあるはずだ。
そこに、似たような車種であるウェイクが登場しても、その差がわかりにくいという心理も働いたのではないか。実際、ウェイクの話を聞いたとき、アトレーがあるのになぜ?という疑問が私にはあった。
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