いつまで続く?英国「30年ぶり」の大規模鉄道スト 激しい物価上昇で全国鉄道労働者が賃上げ要求
イギリスでこの夏、断続的に鉄道業界の労働者によるストライキが行われている。ストの理由は「激しい物価上昇のさなか、賃上げ率がインフレ率の加速に伴っていない」と労働組合が主張しているためだ。運輸労組(RMT)によるストは、6月21日から延べ3日間にかけて実施。その後7月27日に再び決行され、8月にも3日間行うと公表されている。
しかし、一般市民に対する「迷惑度」は予想を超えるレベルとなった。ストには鉄道労組関係者4万人が参加し、英国の旧国鉄路線網であるナショナル・レールのイングランド、スコットランド、ウェールズ全域の列車のうち80%が運休、または遅延したからだ。
大都市ロンドンを巻き込んで起きた大規模ストで鉄道輸送はどうなったか、現地の実情をお伝えしたい。
過去30年で最大規模
イギリスでは、今年のインフレ率が通年で11%に達すると予想されている。コロナ禍から完全に脱却しないうちにウクライナ危機が勃発し、食品や飼料、原油やガスの値上がりを受けインフレが加速しており、6月には年率で9.4%上昇。過去40年で最高水準に達している。10月には13.3%まで加速するとの予測もあり、生活はかなり厳しいものとなるだろう。そんな中で、鉄道労組は少なくとも7〜8%の賃上げと雇用保護を求めている。
最初の大規模ストとなった6月21・23・25日は、本来なら1日約2万本の列車が運行されるべきところ、25%以下の約4500本が走るにとどまった。さらに、21日にはロンドン地下鉄も24時間ストを実施。通勤や長距離移動の足がほぼマヒする事態となった。
今回のストに際し、メディア各社は「過去30年余りで最大規模」と報じている。では、30年前には何が起こっていたのか。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら