大家が親に連絡も「LGBTQや高齢者」家借りる困難 拡大する日本の住宅弱者問題の現在地
そして、新しく問題となりつつあるのがLGBTQだ。同性同士、特に男性同士が来店した場合に不動産業者が「いつから付き合っているの」と根ほり葉ほり聞いたり、親に連絡し「お宅の息子さん、男と暮らすと言ってきていますよ」と伝えるなどして来店者を傷つける例が少なくない。
「人権意識の問題だろうと思いますが、これについては高齢者が多い大家さんを説得するのは難しいので、不動産会社に対するきちんとした研修が必要。福岡県の三好不動産さんでは2016年から、最近では大手ハウスメーカーさんなどでも取り組みが始まっています」と葛西氏は語る。
借りられない問題のネックは大家であることも
いきなり、大家さんという言葉が出て「?」と思ったかもしれない。特定の人たちが住宅を借りられない問題にはいくつものネックがあるが、実はそのうちでも大きなネックとなっているのは不動産所有者、いわゆる大家である。
いくら不動産会社が良識的なアドバイスをしても、大家がノーといえば入居はかなわない。不動産業者に向けては国交省が研修を義務づけたり、通達を出すことで変化を促すことができるが、大家に向けては誰も何もできない。しかも、横文字を聞くとそれだけで拒否反応を示してしまうような年代の大家も多く、その人たちの意識改革は非常に難しい。
それに気づき、最近では自らが大家となることで問題を解決しようという動きも出てきている。岡崎氏が挙げたのは京都府にあるリノベーター社だ。
「信用金庫やファンドなどから資金を集めて古い空き家を購入し、それを住宅確保要配慮者の人たちに提供しています。高齢者や障害のある人は若い人たちと違い、長く居住することが多く、実は優良な入居者。そこに着眼すればきちんと収益を上げながら、社会貢献もできる。若い人たちの中にはそうした考えが出てきています」
葛西氏は名古屋市内のNPO法人LivEQuality HUB(リブクオリティ ハブ)、尼崎市の市営住宅を利用する生活協同組合コープこうべの活動を挙げた。
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