ユニクロが挑む野菜、靴に続く「3度目の正直」 "GU"で静かに進む新規ビジネスの実験

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ユニクロを率いる柳井正氏(撮影:今井 康一)

「ユニクロ」を運営するファーストリテイリング。柳井正会長兼社長が率いる日本最大級のアパレルグループが、国内事業第2のアパレルブランドとして展開する低価格業態が「ジーユー」です。ブランド表記を「g.u.」から「GU」に替え、2015年3月で丸2年。業績は好調で直近四半期決算(2014年9~11月期)は、計画通り2ケタの増収増益となり、既存店売上高もプラスで推移しました。

GUがコスメ商品の販売を開始

そのGUでこの2月から、従来になかったジャンルの商品の販売が始まりました。「リップグロス」「ネイルポリッシュ」(いずれも3本セットで790円)「ネイルシール」(490円)「アイラッシュ」(3組で490円)という4アイテム。いわゆる女性が化粧に用いる「コスメ商品」です。このことは、ファーストリテイリンググループ社員の間ですら、あまり認知されてはいません。

GUが販売を開始したコスメ商品の「リップグロス」(GUホームページより)

筆者は東京・新宿の「ビックロ」GUフロアで、この4アイテムが並んでいるのを確認しました。ほかのファッション小物と同じコーナーの中にある一つの立体什器にまとめてわかりやすく展開。遠目にうかがっていると、「カワイイ」という声とともに商品を手に取る若い女性が多いことを目の当たりにしました。

アパレル産業においては、一つのブランドで一定の顧客が衣服を購入する金額には限度があります。一方で、せっかくつかんだ顧客にはもっと買ってもらいたい。マフラーやキャップ(帽子)、ネックレスなどのアクセサリー類など、同じテイストでコーディネートしやすいファッション小物が、衣服と一緒に店舗に並ぶのは、そのためです。

ただ、こうした小物は一度購入すれば使い回しが効く性質の商品ですから、シーズンが変わらない限り、継続的な売り上げにはつながりにくい。そこで特に女性用を扱うアパレルブランドは化粧品に目を転じます。化粧品は気に入りさえすれば定期的かつ継続的に使用されるために、安定的な売り上げを見込めるからです。

GUの売り場に並んでいるコスメ4商品を見てみると、カラー、サイズが豊富な既存の他の商品とは違って、一定の目的に絞った試験的なマーケティングを強く匂わせる感があります。実はすでにインターネット上ではフルカラーが紹介され、GUの店舗がない地域の顧客にも購入できる体制が整っています。

GUでの展開が成功裏に運べば、これらのコスメ商品はユニクロをはじめとするファーストリテイリンググループ全体で推し進めるシナリオもありえます。衣服関連の商品に次ぐ代表的な新規ビジネスを育成するのは、柳井体制の悲願。今回は「3度目の正直」とも言ってもいい挑戦になるかもしれません。

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