ユニクロが挑む野菜、靴に続く「3度目の正直」 "GU"で静かに進む新規ビジネスの実験
ユニクロ事業で鍛え上げられたプロ集団をもってしても、生産管理がままならない農作物事業は成功にいたりませんでした。また、靴は工業製品でしたが少しやり方を間違うと、撤退を余儀なくされる。それが商売です。
辛酸をなめた柚木氏がGU成功の立役者
GU発となる今回のコスメ事業の勝算はいかほどでしょうか。実は過去の苦い経験が礎にあります。野菜事業を手掛けていたエフアール・フーズの社長を務めていたのが現GU社長の柚木治(ゆのき・おさむ)氏です。
2004年3月。柚木氏が責任を取るべく辞意を表明したところ、柳井氏は「損したお金を返してください」と伝えたそうです。紆余曲折はありますが、柚木氏は2008年にGUの副社長へ就任。そして2010年には社長に就きました。
そこからのGUは大きく変わりました。それまではユニクロの7掛け価格の「普通の商品」というだけのコンセプトのはっきりしないブランドでした。
柚木氏は「トレンドの服は着たい。でもバーゲンでないと高くて買えない。そんな若者にトレンドど真ん中を今すぐ買える価格で提供しよう」というコンセプトをまとめ上げ、その方針に沿って事業を展開。そこからジーユーは急伸します。2014年8月期には276店舗で、売上高1075億円、営業利益68億円という数字をたたき出すほどに成長しました。
野菜事業をたたんだときの特別損失が約8億円。柚木氏はこれをすでに返しているといえるでしょう。文字通り成功法則の模範のごとく、失敗は失敗で終わらせず、成功への大きな足がかりとして、GU事業を成功させたといえます。
過去2回に渡る挑戦では、出資や買収などの手法で進めた新規事業。「3度目の正直」となる可能性のあるコスメは、まずトレンドを売りにするGU事業の中で深く、静かに、慎重に進めながら顧客の動向の様子見をして、ここぞというタイミングを見計らっていると筆者は見ています。
ファーストリテイリングの株価・業績 は「四季報オンライン」で
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら