「もう我慢の限界だ。保健所も医療機関も倒れる」 第8・9波さらに感染増?検査・医療体制どうするか

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以下、番組での主なやりとり。

平井伸治氏(全国知事会長・鳥取県知事):厄介なのは全数把握をしろということだ。1日22万人、23万人すべて、医師が報告を上げ、その報告を1件1件審査会にかける。もういい加減にしてくれ。皆、怒っている。命を助けるほうにもっと時間を使いたいし、戦力を温存したい。

厚労省の事務方は、積み上がった数字を見ているだけだ。アドバイザリーボードの基礎データのため、専門家の資料作りのためにやっているのではないかとすら思う。われわれ現場は疲弊しきっている。医師たちは、1件1件レポートを書く必要があり、深夜の作業になる。こういうことを2年半、毎日繰り返してきた。今までは我慢していたが、「BA.5」になったらもう限界だ。すぐにやめてもらいたい。

全国知事会の平井伸治会長(鳥取県知事)(画像:FNNプライムオンライン)

医療機関については運用で緩めていくのが正解

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):指定病院だけでなく、一般外来でもコロナ患者を診られるようにするとの考えについて。

尾﨑治夫氏(東京都医師会長):今、診療・検査医療機関は頑張って診ている。動線を分け、空間的に、時間的に分けて診ないと、コロナはやはり感染力が強い。今まで接触感染や飛沫感染などと言っていたのに、「BA.5」はエアロゾルの可能性がかなり高いと。普通の外来でというのは、非常に難しい。

今までコロナ患者を診てこなかった医師が診るためには、どこかにセンターのようなものを作り、そこに行って診療してもらうような形でないと診られない。オミクロン株は非常に感染力が強く、一般外来で診るのは現実的に非常に難しい。

田村憲久氏(前厚労相・自民党新型コロナ対策本部座長):コロナ以外の疾病もいっぱいある。やはりこれは分けたほうがいいというのが前提だ。

これ5類にしたからといって、みなが手を上げてくれるわけではない。運用で緩めていくのが正解だ。新規感染者数は、今までは前回の10万人が最大だった。今回もう20万人を超えた。今もう検査できていないので、本来はもっといるかもわからない。第8波、第9波もくるだろう。そのときには感染者数は同じ、もしくは、もっと増える可能性もある。

そのための体制を組むことを考えれば、はじめのころ、東京で医師会に検査センターを作ってもらった。あのようなものをまずメインで、各自治体にお願いして作ってもらい、そこに医師、看護師に輪番で入ってもらう。そのほうが人員配置はとても効率がいい。それで多くの人を診てもらうようにしないと。

一般医療の方に非常に負荷がかかることを考えると、これが常態だという体制を作っておく。各都道府県知事も、第7波で終わりだなどと思っている人はいない。これからも続いていく。そういう体制をつくり、日常生活も動かす、検査もしっかりやる。それから中等症の患者、重症者の患者のために、例えば、中等症なら臨時の医療施設を、配管を通して酸素が吸えるようなものを作る。こういう体制を社会として作っておくことが大事だ。

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