進化する錦糸町駅、都内有数の「歓楽街」の現在 「ディープな街」はいつから若者の街になった?
ポツンと現れる寺院は、千手観世音菩薩を祀る五徳山江東寺だ。境内には清昌稲荷大神と出世弁財天も鎮座しているが、参拝している人はいない。寺の右にある道を覗くと、奥の路地はディープな雰囲気を醸す。信仰の対象である寺院のすぐ裏が歓楽街というのも、不思議な光景だ。
次に、北口へ向かう。半蔵門線で北口に行くためには、3番出口が近い。
北口周辺はもともと国鉄用地だったが、1997年までに再開発を終えた。再開発のシンボル的存在の1つが、すみだトリフォニーホールだろう。新日本フィルハーモニー交響楽団の本拠地として知られる同ホールは、再開発終了と同時にオープン。国内外の著名な音楽家を招き、演奏活動を行っている。
音楽の街であることをアピールするためか、北口周辺には音楽をテーマにしたアート作品が多い。北口を出てすぐのところにあるローレン・マドソン作「エコー」は、音楽記号の1つであるヘ音記号をモチーフにしたもの。五線譜に見立てたロープで吊るされ、左右にある支柱には、モーツァルトなど著名な作曲家が残した作品群の年表があしらわれている。
すみだトリフォニーホール方面へ歩いていくと、赤くて目立つアート作品を見つけた。「RONDO」と名付けられた作品を見ると、後ろには東京スカイツリーがそびえ立っている。中央の穴から奥を覗くと、スカイツリーがきれいに収まっていた。
川に挟まれている錦糸町
錦糸町駅周辺を地図アプリで見ていると、まちの東西が川に囲まれていることに気づいた。歴史的な経緯があるのか気になり、調べてみた。
錦糸町周辺は、江戸時代に起きた明暦の大火以降に発展した街の1つだ。江戸の防火対策を根本的に見直す必要があった江戸幕府は、錦糸町の地に武家屋敷を分散させることにした。その前後で掘削された運河が、錦糸町の東西を流れる大横川と横十間川である。
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