リノベは「見積もりをとる会社」選びが最大の山場 「有名だから」「近いから」で決めると後悔する

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すると息子さんも出てきて、いろいろ質問をしたり説明をうけたりしたあと、結果的には私の会社と契約してくれた。奥様も工事が始まってから「こんなたいへんな工事になるなんて……、あのときあんなふうに言ってくれてよかったわ」と話されていた。

リノベ経験がなくても「できない」とは言わない

リフォーム会社にはさまざまな種類がある。キッチンやトイレのリフォームはたくさん行っていても、大がかりなリノベはできない会社もある。しかも、リノベができない会社でも「リノベをしたいんです、見積もりを出してもらえますか」とお客さんから依頼が来たとき、「したことはないです」と正直に言ってくれない会社がほとんどなのだ。だいたいは「大丈夫です、できますよ」と答えが返ってくる。

これはリノベ・リフォーム業界の一番の問題点ではないかと私は思っている。こんな業界はめずらしいのではないだろうか。歯医者に言って風邪を治してくださいと言ったら、それは無理です、内科に行ってください、と向こうから言う。しかし、リフォーム業界は言わないケースもある。

リフォーム産業全体の中で、リノベにきちんと対応している会社は多くない。つまり、大半はリノベをほとんどしていないにもかかわらず、それを正直に言ってくれない。というか、「自分たちでもできる」と思っているふしもある。したことはないけれど、なんとかなるだろうと。ところが実際にやってみると、いろんなことが起きて工事が進まず、ごちゃごちゃになってしまう。こうして、リノベが失敗してしまうのが多くの状況なのだ。

条件や許認可だけでなく、リノベには高い技術とノウハウ、責任が必要とされる。リノベの見積もり依頼をするときは、少なくとも実績があるかないかはしっかり見ておく必要がある。リノベをしているところはだいたい施工事例に載せている。載っていないところは会社に問い合わせて確認してみるとよいだろう。

見積もり先の依頼は、リノベの大きな山場だ。ここで手間を惜しまないことをおすすめしたい。

西尾 肇 住宅リノベーション専門の会社紹介サイト「リフォームコンパス」代表

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にしお はじめ / Hajime Nishio

住宅リノベーション専門の会社紹介サイト『リフォームコンパス』代表。1969年生まれ。ゼネコンを経て住友不動産のリフォーム部門「新築そっくりさん」に約14年間勤務し、全国1位の営業成績を数度収めると同時に、同社キャッチフレーズやリノベ専門のホームページを考案する。2013年、アイコンパスを設立。大規模リフォーム(リノベーション)専門の会社紹介サイトを運営し、一般ユーザーに会社だけでなく担当者を指名紹介するしくみをつくる。リノベーション関連の講演、リフォーム企業向け研修・コンサルティング活動も精力的に行う一方、リフォーム関連の新聞・雑誌に連載経験も。連続テレビドラマ『魔法のリノベ』のリノベ監修を担当。

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