リノベは「見積もりをとる会社」選びが最大の山場 「有名だから」「近いから」で決めると後悔する

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よくある失敗は、少し調べてみたものの結局よくわからないから、とりあえず見積もりしてもらおうと、大手1社と、最近チラシが入っていた会社1社と、近所の人から紹介してもらった1社、合計3社くらいで見積もりをとろう、というような例だ。

実際に見積もりをとって3社と商談するとなると、打ち合わせもけっこうな数になり、かなり疲れる。だから「この3社のなかでどこかを選ぼう」という気持ちになってしまう。

しかしそれは結局のところ、3つの中でいちばんマシなところを選ぶことにすぎない。

リノベ実績のない会社に見積もり依頼すると危険

私が「リフォームコンパス」を始めるきっかけになった出来事がある。以前、大手住宅会社で営業をしていた頃、大阪市内の密集地の中に建つ大きな木造住宅で、全面的にリノベをしたいという話があった。築40年なので建物状態が大丈夫なのかとか、4トントラックも入れないような密集地なので材料の運搬計画も綿密に立てないといけないとか、なかなか難しそうな案件だった。

そのとき施主のお宅の奥様が「実はほかにも2社で見積もりをとっているの。ごめんなさいね」という。私は「どうぞ比較してください」と返事をしたが、その競合2社の名前を聞いて「ん?」と思った。

1社は、業界では正直、評判がよくないところ。もう1社はその地域密着で水回りのリフォームをよくやっている工務店で、リノベの経験はほとんどなさそうだった。

そこで私は自分の会社のプランをもっていきながら、他社のようすもそれとなく尋ねてみた。すると、2週間経ってもプランも何も出てこないという。うち1社は、「費用は1000万円くらい」と言ったそうだが、築年数が経過した大きな木造なので、実際はそんな金額ではとてもできない。

私は、さすがにこれはまずいと思い、当社は辞退してもいいから、個人的にお話をさせてほしいと申し出た。「この会社は悪徳系だから、やめておいたほうがいいです。もう1つの工務店さんも、今回の工事では実績と経験が必要になりたいへんですから、ふさわしくないと思います。探せばもっと違う会社がほかにもありますから、ほかでやられたほうがいい」と正直にお伝えした。

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