家のリノベ-ションは人生のリノベ-ションだ ドラマ制作陣が語る『魔法のリノベ』の舞台裏

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――今回は人気漫画『魔法のリノベ』が原作となっています。

上田:原作はとてもおもしろいのですが、あまり長い話ではないので、原作の裏側にある世界観を膨らませていきました。たとえば、主人公の小梅が大手のグローバル社から転職してくる「まるふく工務店」は、原作ではもう少しスタイリッシュに描かれていますが、ドラマでは大手との立ち位置の違いをもう少し出そうと『がんばれ!ベアーズ』を彷彿とさせるような、小さな工務店のイメージで描いています。

「来週もこの人たちを見たい」と思ってもらえたら

ドラマは展開のおもしろさも大事ですが、その時間にテレビをつけて、登場人物たちが住む世界に触れに行く感覚も大切にしたい。まるふく工務店の皆が「社員旅行はどこに行こうか」とヤイヤイ言い合ったり、近くのおにぎり屋さんに昼ご飯を買いに行ったり……そんな暮らしの営みの愛おしさみたいなところを伝えて、「来週もこの人たちを見たい」と思ってもらえると嬉しいですね。

西尾:まるふく工務店はみんなが一丸となっていて、良い空気感が伝わってきます。リノベって結局のところ、家の間取りや設備を直すだけでなく、家族の暮らしに新しく付加価値がついて改善されて、新しい幸せの形がやってくるというのが本質だと思っているんです。

上田誠(うえだ まこと)/1979年京都府生まれ。劇作家、演出家、構成作家。劇団ヨーロッパ企画の代表であり、すべての本公演の脚本・演出を担当。外部の舞台や、映画・ドラマの脚本、テレビやラジオの企画構成も手がける。2010年、構成と脚本で参加したテレビアニメ『四畳半神話大系』が、第14回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門で大賞受賞。大喜利イベント「ダイナマイト関西2010 third」で優勝。「企画ナイト」ほか、イベントへの出演も数多い。2017年、『来てけつかるべき新世界』で第61回岸田國士戯曲賞を受賞。2022年7月から放送中のテレビドラマ『魔法のリノベ』で脚本を担当している(撮影:尾形文繁)

私は『リフォームコンパス』という、リノベ専門に会社を紹介するウェブサイトを運営していますが、建物を修繕できる会社はたくさんある一方で、家族に寄り添える会社、一緒になって創造していく視点を大切にする会社や担当者は少ない。法律や技術などのスキルも求められます。

ちょっと小さな工務店という枠でくくると、さらに少なくなる。まるふく工務店のような、幸せを配達する使命感を持っている会社を見つけるのはなかなか大変です。

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