ヤマダ、問われる再成長と「後継者問題」への答え 創業者・山田会長に聞く世代交代のタイミング

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一代で今日のヤマダを築き上げた山田会長も80歳間近。会社の再成長だけでなく、後継者問題も大きな経営課題だ(撮影:谷川真紀子)
「暮らしまるごと」戦略を掲げ、社運を懸けた大型新業態「ライフセレクト」の本格展開を進める家電量販最大手のヤマダデンキ。グループを率いる創業者、山田昇・ヤマダホールディングス会長兼社長が目指すのは、近年失ったシェアの奪還とグループ売上高2兆円の再現だ。
後継者含みでスカウトした三嶋恒夫前社長は、健康上の理由で2021年9月に退任。以後は山田会長自身が社長も兼任して陣頭指揮を執るが、創業50周年の2023年には会長も80歳を迎える。
年商2兆円の再達成を新3カ年中期経営計画の目標に据え、大型新業態の展開を急ぐその姿からは、何としても自分がトップの間に再成長への確固たる道筋をつけておきたい、との強い想いが垣間見える。
東洋経済は山田会長へのロングインタビューを行い、その内容を2回にわたって掲載する(前編はこちら)。後編となる今回は、買収した大塚家具のその後や、第2の柱として強化する住宅事業、そして懸案の後継者問題について聞いた。
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うちとニトリはぜんぜん違う

――ヤマダは経営危機に陥っていた大塚家具を2019年末に子会社化し、2022年5月にヤマダデンキが吸収合併しました。買収は成功だったと言えるのでしょうか。

もちろん、大成功ですよ。家具・インテリアも取り扱っているライフセレクトの店内を見てください。ヤマダオリジナルのSPA(製造小売り)商品だけじゃなく、大塚の商品が数多く並んでいるじゃないですか。

2019年12月、資本提携で記者会見した山田会長と大塚家具の大塚久美子社長(当時)。完全子会社化を経て、2022年5月にヤマダデンキが吸収合併した(撮影:尾形文繁)

大塚が培ってきた家具での信用、ブランド力の高さはやはりすごい。少々高くても、お客さんは「大塚の商品なら」と信頼して買ってくださる。ヤマダの大きな強みになっている。

大塚の社員たちも非常に優秀で、家具に関する豊富な知見と、販売のスキルを持っている。そうしたノウハウをグループで共有するために、ヤマダデンキと合併させて、大塚家具事業部にした。これからその効果も出てくる。

――大塚の単独店(2022年7月時点で14店)は今のまま残すのですか。

今ある単独店を閉じるつもりはないが、これから大きく伸びるのはヤマダの店頭での取り扱いだ。今後、ライフセレクトの店数がどんどん増えるから、大塚ブランドの販路も全国に広がっていく。

――ヤマダの家具・インテリアの売上高はまだ400億円弱(2021年度実績、大塚単独店含む)ですが、やる以上は、やはりいずれは首位のニトリを抜きたい?

マスコミはすぐそうやってあおるが、家具で1番になろうとは思ってもないし、そもそも、うちとニトリさんはぜんぜん違う。ニトリさんの強みは、ボリュームゾーンの手頃な価格帯の商品を中心としたSPA商品。

一方、ヤマダは手頃な値段のものから、大塚ブランドの100万円を超えるような高級商品まである。それにうちは電気屋だから、オリジナルのSPA商品では電動式のソファやベッドに力を入れている。

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