ヤマダ、問われる再成長と「後継者問題」への答え 創業者・山田会長に聞く世代交代のタイミング
売り方にしても違う。ライフセレクトでは、大画面サイズのテレビの前にも電動ソファをずらりと並べている。大きなテレビを買いに来られた方に電動ソファも実際に体験してもらい、「電動ソファにすれば、長い時間でもより快適にテレビを楽しめますよ」と提案するわけです。こういう勧め方ができる体験型の店舗はヤマダだけですよ。
――暮らしまるごと戦略で、注文住宅事業の拡大にも力を注いでいます。かつて買収したエス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)に続き、2022年4月には、省エネ住宅を得意とするヒノキヤグループを完全子会社化しました。
住宅も、ヤマダがやるいちばんの狙いはシナジー、つながる経営だ。住宅を購入されるお客さんに、家電や家具・インテリアなどもまとめてヤマダで購入していただく。家を売ることで、そこで暮らす家族全員とヤマダとの接点ができる。
――ヤマダで家を買ったお客さんは、家電や家具もヤマダで買う。そんなにうまくいくものですか?
買ってくれますよ、ヤマダの社員が家をセールスするんだから。家を新築されるお客さんをライフセレクトなどの店舗にご案内して、家電や家具・インテリアなどを一通り見ていただくんです。うちは金融子会社もあって、住宅購入資金だけでなく、新築時の家電や家具などの購入資金もまとめて面倒をみますから。
ヤマダが住宅まで売る理由
さらに言えば、住宅の販売は将来のリフォームにもつながる。家を建てて10年以上もしたら、キッチンや浴室、トイレを新しくしたいとか、部分的なリフォームのニーズが出てくる。その時にどこに頼むかというと、だいたい8割のお客さんは家を建てたハウスメーカーにまずは相談するんです。
だから、住宅事業が順調にいけば、家電や家具、水回りなどのリフォームまで需要を取り込める。すべてヤマダに揃っているので、ほかで買わなくていい。このビジネスモデルは他社にはないでしょ?
――ヤマダホームズとヒノキヤグループを足すと、直近の年間注文棟数は約7600棟に上り、住宅業界で上位の一角に入ります。
住宅事業はこれからもっと伸ばしていく。中計最終年度の2024年度で受注棟数10000棟、事業売上高で3500億円(2021年度実績は2682億円)を目指す。買収についても、いい案件があれば積極的にやっていく。実際、いろんな話は来ている。年間の新築棟数が増えれば、家電・家具の販売やリフォームへのシナジーだけでなく、スケールメリットで事業自体の収益性も上がる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら