ヤマダ、問われる再成長と「後継者問題」への答え 創業者・山田会長に聞く世代交代のタイミング

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――最後に後継者問題についてお聞きします。三嶋さんの退任後は社長も兼任してグループの経営を見ていますが、バトンタッチの時期についてはどう考えていますか。

会社というのは、発展させて、持続的成長をするのが命題なので、そうした基盤が確立した時でしょうね。そのため新しい3カ年中計が今年度からスタートしたので、そこまでは私が全力投球しないといかんと思っている。

やまだ・のぼる/1943年生まれ。1973年に群馬県前橋市で電気店を開業し、一代で家電小売りの最大手に。2020年10月、持ち株会社体制への移行に伴い、ホールディングス会長。2021年9月から社長を兼任(撮影:谷川真紀子)

その後については、年齢が年齢なので、健康状態や体力の自信がどうかといった問題が絡んでくる。当社の取締役の任期は2年単位だから、(続投について)今後はそうしたスパンで考えていく。

――自分の手で何としても再び2兆円達成までの道筋はつける。最新の中計からはそんな強い決意を感じます。

そりゃそうですよ、もう80になるんだから(笑)。そこまでは私の責任だという言い方はしていて、「早くお前たち、なんとかしろよ」と。それは感じ取ってください。

みなさん、私の年齢的なことで心配をされるけども、サラリーマン社長じゃできないこともある。いま急ピッチで進めているライフセレクトへの転換にしてもそう。とくに小売りは嗅覚や経験がものすごく大事で、社会的な変化にスピード感をもって対応しないといけないが、どうしてもサラリーマン社長だと大きな決断が難しい。

――ご自身が一からここまで育てた会社ですから、健康な間はずっと続けたいという思いもあるのでは?

そんなことはない。しっかりした後継者が育成できれば、その時はもういいでしょう。

創業者以上の後継者は出てこない

――2022年4月の人事で、後継者の最有力候補と見られている小林(辰夫)さんが家電販売事業を担うヤマダデンキの社長から会長になり、その後に持株会社の取締役から外れました。この人事はどう理解すればいいのでしょうか。

1つは、2020年に設立した持ち持株会社の機能、役割を明確にしようと。ホールディングスは傘下の事業会社の管理・監督、サポートに徹する。人数も少なくていい。そうした体制・組織の見直しに合わせて、小林さんにはヤマダデンキの経営に専念してもらった。

言うまでもなく、ヤマダデンキはグループの中核会社。中計目標の2兆円達成も暮らしまるごと戦略でヤマダデンキが全体を引っ張っていく前提だから、ここがしっかりしないといけない。

――ユニクロのファーストリテイリングや日本電産など、一代で会社を大きく育て上げたカリスマ創業者は、その多くが後継者問題に頭を悩ましています。

創業者以上の後継者、次のトップを望むのは無理ですよ。一から会社を育てた自分以上の後継者なんて出てこない。求める理想の8掛け、7掛けで認めてやらないと。

後はいかにして組織や仕組みを作るか。さらに言えば、トップをサポートする人材の育成も必要。だから、うちも今、そこを必死にやっているわけですよ。

渡辺 清治 東洋経済 記者
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