中国からの「黒船EV」が日本で乗り越えるべき壁 300万円台でSUVを投入、販売拠点も100カ所展開

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ただ、課題も多い。1つは知名度とブランド力だ。

輸入車の中でもメルセデス・ベンツやフォルクスワーゲンといった欧州メーカーと比べ、BYDは2005年に日本法人を設立したばかりの後発組だ。EVバスやフォークリフトなどの商用車を販売してきて「BtoB」ビジネスの蓄積は一定程度あるが、「BtoC」ビジネスはこれからだ。

「(日本では)BYDの乗用車のブランド力はまだゼロに近い。日本で信頼感を得るために対面式の販売にこだわる」。BYDジャパンの劉社長は日本での販売戦略についてこう話す。

三菱自動車出身者を起用し攻勢

同社は試乗からアフターセールスまで手がけ、既存のディーラーと契約する形でディーラー網を全国で2025年までに100カ所の整備を目指す。

日本の消費者にEVを訴求する場合、価格の求めやすさやEVの技術だけでは難しい。一般消費者がEVを購入するうえでBYDジャパンの車種が選択肢に入るかは、買いたいと思わせるようなブランド力にもかかってくる。

乗用車の新会社「BYD Auto Japan」の東福寺厚樹社長は、三菱自動車で国内外事業を担当し、前職はフォルクスワーゲンジャパン販売社長も務めていた。同氏はBYDジャパンに2021年8月に入社している。日本の乗用車市場を熟知した人材を採用し、攻勢をかける。

また、BYDは中国の車両を日本の規格に合わせて輸入するだけではなさそうだ。SUVやコンパクトカーなど日本で好まれる車種を選び、ユーザーへの豊富なEV車種の選択肢を提供するつもりだ。第1弾としてEVを発表したばかりの国内自動車メーカーに比べるとアドバンテージを持っているだろう。

韓国の現代自動車がオンライン販売するEVの「IONIQ5」(記者撮影)

日本のEV市場をめぐっては、乗用車市場から一度撤退した韓国の現代自動車が2022年5月、EVの「IONIQ 5(アイオニック)」と燃料電池車(FCV)の「NEXO(ネッソ)」のオンライン販売を開始した。

BYDのEVが日本ユーザーに認知され、選ばれるのか。拡大しつつある日本の乗用車EV市場の競争がますます激化することになりそうだ。

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