ネット炎上「広がる会社」「消せる会社」の決定的差 「早く言ってよ…」を防ぐにはルール作りが必要

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もちろん私たちは生身の人間、ロボットではありません。24時間即応状態なんて無理ですが、ネット炎上も待ってはくれません。そこで、「自分が報告すべき上司」が捕まらなかったら、さらにその上に連絡するという明確なルールを設定するのです。

このルールには、できるだけ詳細な運用手順を決める必要があります。なぜなら部下にとって、直属の上司をすっ飛ばして頭ごなしに動くことはストレスだから。自分が捕まらなかったことを差し置いて、

「なぜ先に私に相談しなかった」

翌朝になってこういうオーラを醸し出す上司が一番のボトルネックです。そんなオーラはルールで排除。

たとえば、

  • 緊急用の専用携帯にかけ、20コール待った
  • その後、5分間の間隔をあけ、3回連絡した
  • 並行して、チャット・メールにも連絡した

が、それでも捕まらなかった場合は、その人を「すっ飛ばし」て、さらに上のポジションに連絡しろ、これはルールだよ。守らないとだめだよ。ここまでしっかり明示すれば、気の毒な部下の方もストレスから(少しは)解放されるでしょう。その他には「出張で直属上司が日本にいない」などのケースも追加しておけば、「爆速」連絡網の完成です。

炎上したら集めるべき5つの情報

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並行して「情報収集」も進めます。ネット炎上は、往々にして当事者からは全貌が見えにくいので、爆速連絡網を回している間に、企業としての意思決定に必要な情報を手分けして集めておきましょう。集めるべき情報は次の5項目。

①【原因】いつ、どこで、何が、なぜ起きたか

②【炎上】いつ、どこで始まり、今どうなっているか

③【人物】この炎上に陽動者やカギとなる人物はいるか

④【検知】いつ、誰が、どうやってこの炎上を認識したか

⑤【問い合わせ】「メディア」「取引先」「一般」「③」から問い合わせは来ているか

これらの項目が、連絡網メンバーによる炎上のタイプ判定、対応方針決定のベースになります。ツイッター検索や掲示板、ニュースサイトのチェックなど、なるべく大人数で、素早く漏らさず、幅広く情報を集めましょう。

小木曽 健 国際大学GLOCOM客員研究員

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おぎそ けん / Ken Ogiso

1973年生まれ、埼玉県出身。複数のITベンチャーを経て現職。書籍や講演、メディア出演などを通じて「ネットで絶対に失敗しない方法」やネットリテラシーに関する情報発信を幅広くおこなっている。これまでに企業、学校、官公庁などで2000回以上、のべ40万人に講演。著書に『11歳からの正しく怖がるインターネット』(晶文社)、『ネットで勝つ情報リテラシー』『大人を黙らせるインターネットの歩き方』(筑摩書房)、監修に『13歳からの「ネットのルール」』(メイツ出版)他多数。

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