イオンがパルコ株を取得し第2位株主に浮上。都市型SC等での提携を模索

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イオンの訴える協業内容は、パルコの中計の方向性と一致しており、森トラストの吉田武副社長は、「イオンなら都市型業態への進出や海外展開なのでパルコの価値を上げられる」、と協調にまんざらでもない(「週刊東洋経済」での発言)。イオンが16.8%まで株を買い進め、森トラストとイオンの持ち株を合わせれば過半数に達する。だから、イオンが「政投銀・パルコvs.森トラスト」の構図へ割って入るのか、どちらかの陣営について旗色を鮮明にするのかで、パルコ経営をめぐる絵図は大きく違ったものとなりうる。

水面下で誰がどんな交渉をしていたのか、まだ表に出ていないが、パルコ、森トラスト、政投銀は、イオンからのより具体的な提案内容を見て、協業の実現性を探っていくことになる。いわば、「ボールはイオンが握っている」状態だ。

次のヤマ場は、5月に予定されるパルコの株主総会。森トラストは、パルコの経営に関して何らかのアクションを起こすのではないか、との観測も出ている。イオンは第2位株主としてどんな権利を主張するのか、しないのか。その行動自体が、現経営陣に対する信認・不信任に直結しかねないだけに、イオンの対応は注目される。

(撮影:尾形文繁 =東洋経済オンライン)

《東洋経済・最新業績予想》
(百万円) 営業収益 営業利益 経常利益 当期利益
連本2010.02 5,054,394 130,193 130,198 31,123
連本2011.02予 5,065,000 158,000 165,000 60,000
連本2012.02予 5,090,000 170,000 177,000 43,000
連中2010.08 2,505,121 62,175 67,572 33,628
連中2011.08予 2,520,000 67,000 72,500 19,000
-----------------------------------------------------------
1株益\ 1株配\
連本2010.02 40.7 20記
連本2011.02予 78.4 21特
連本2012.02予 56.2 21特
連中2010.08 44.0 0
連中2011.08予 24.8 0

山川 清弘 東洋経済『株式ウイークリー』編集長兼「会社四季報オンライン」副編集長

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やまかわ きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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