義務化も露呈!「ストレスチェック制度」の限界 「ただ受けているだけ」状態の人も少なくない

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そこにはこれまでの職業性ストレスチェックの限界があります。 

そもそも多くの会社で利用されている厚生労働省推奨の「職業性ストレス簡易調査票」は、一定のエビデンスはありますが、プライベートでのストレス因子やストレス耐性など、個人的なストレス要因についての質問項目がありません。 

そこでストレスチェックの精度を上げるために私が目を向けたのは、その人個人の「行動(習慣)」と「環境」です。 

ストレスの多くは、目には見えず、人によって意味合いも耐性も異なります。 

その点、個人の行動や環境は把握しやすいうえに、大きなブレが生じにくく、一方で、個人のストレスに大きく影響します。 これをストレスチェックの質問に組み込んだのです。

その後、私が新たに開発したストレスチェックシステムで、同社のグループ会社も含めた5万人強の2年間のデータを再検証したところ、過去のチェックでは漏れてしまった人も「メンタルヘルス不調の危険性がある」という区分に100%該当することが確認できました。 

心の不調を見抜くポイントは、「行動(習慣)」と「環境」が大きく関係しているのが立証された形となったのです。

行動を変えることでストレスは激減する

ストレスに大きく影響する行動ですが、裏を返せば行動を変えることでストレスを軽減し、さらに受けた不調を正すことも可能になります。

「ビヘイビア・ヘルス〜Behavioral Health〜」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。 行動や生活習慣を変えることで、「病気にならない。より健康な体を自分自身でつくっていく」という新しい考え方で、私が研究を行っているハーバード大学医学部でも、学部を挙げて取り組んでいます。 

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