セブン、「元店主の乱」の裏で一変した本部の態度 セブン本部が1審勝訴でも時短営業店舗は拡大

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コンビニ本部と加盟店との関係は改善に向かいつつあるとはいえ、課題はまだ残る。その本丸とも言えるのが、加盟店が本部に対して支払うロイヤルティー比率の引き下げだ。

コンビニチェーンでは一般的に、店舗の売上高から商品などの仕入れに伴う売上原価を差し引いた売上総利益をコンビニ本部と加盟店で分け合う。売上総利益に一定割合を乗じたロイヤルティーを加盟店は本部に支払う。

セブン本部に支払うロイヤルティー比率はもっとも一般的な契約タイプで約60%と、競合他社と比べ高い水準だ。さらに売上総利益が増えるほど、累進課税のようにロイヤルティー比率は上がっていく。

加盟店オーナーを45年間続けたという首都圏の男性は「長く続けた店舗であればロイヤルティーの減額があるため利益も出た。2店舗のうち、古いほうの店を閉店したことでロイヤルティーの金額が上がって、人件費を抑えないと利益が出なくなった。最後はずっと赤字だった」と語る。

ロイヤルティー改革にどこまで踏み込むか

こうした加盟店経営の苦境は、人手不足の原因の一つにもなっている。一定の利益が確保できれば、人気がない深夜スタッフも高時給での募集が可能になるが、近年の最低賃金の上昇傾向が店舗経営を圧迫。人件費は原則としてオーナーが全額負担するため、さらに高時給を提示しようとすると、オーナーの取り分は減るばかりだ。

元コンビニオーナーで社会保険労務士の齋藤晃人氏は「従業員の社会保険料を支払っていないオーナーも多い。支払わないのは問題だが、支払えないほどロイヤルティー負担は重い」と指摘する。

セブン本部は、店舗の運営期間や複数店経営など特定の条件下でロイヤルティー比率を軽減する制度を導入してきたが、基本となるロイヤルティー比率そのものの見直しには手を付けていない。

今後も人件費や光熱費などのコスト増が予想される中で、長年変わることがなかったロイヤルティー改革にどこまで踏み込めるのか。セブン本部には、加盟店と向き合う本気度がいま一度問われている。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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