ロッテも逃れられない「韓流お家騒動」の宿命 韓国で難題山積の中、副会長が突然の解任

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韓国・ソウルにあるロッテ百貨店(ベイグランド / Imasia)

韓国系企業でありながらも、最初に事業を日本で始めたこと、それにプロ野球のロッテオリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズ)を1971年から保有していることなどから、日本での知名度が先に高まった。

1965年に日韓の国交が正常化されたのを機に韓国へ進出し、2年後には韓国ロッテを設立する。その後はロッテホテルやロッテ百貨店をはじめ、商社や石油化学にまで事業を多角化。韓国の10大財閥の1つとなるまでに成長した。

特にホテルや百貨店では、日本式のサービスを取り入れたことで、韓国の小売り、サービス業に革命を起こしたとも評される。また、日本でもファンが多い即席麺「辛ラーメン」を製造・販売する「農心」(ノンシム)の創業者である辛春浩(シン・チュノ)氏は、重光氏の実弟に当たる。

2013年度の業績を見ると、韓国ロッテの売上高は55兆4186億ウォン(約6兆円)、営業利益は2兆9932億ウォン(約3200億円)。一方、日本ロッテはそれぞれ4077億円、227億円。今や、創業の地である日本よりも創業者の母国である韓国のほうが、事業規模は圧倒的に大きくなっている。

創業者の長男は事実上の追放

そんなロッテに年明け早々、激震が走った。ロッテグループの持株会社であるロッテHDは1月9日、副会長の重光宏之取締役を8日付で解任したと発表したのだ。同氏はグループの経営陣から事実上追放されたことになる。

重光武雄氏は、長男である宏之氏に日本、二男の昭夫氏に韓国と、それぞれ経営を任せていた。解任の理由は明らかになっていないが、ここにも韓国の財閥企業が一様に抱える後継者問題の一端が垣間見える。

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