吉本芸人も参加!大阪発「スタートアップ」の挑戦 芸人が働きたい企業を選びマッチングさせる

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吉本興業の担当者は、今回のプロジェクトの2つの狙いを挙げる。ひとつはマネジメント会社の視点で、企業とのビジネスをメインに据えた中堅芸人の新しい活躍の場を作ること。もうひとつは、SDGsをはじめとする同社が手がける幅広い社会貢献事業の一環となる地方創生との連動だ。

「地方創生を掲げてさまざまな地域課題の解決に取り組むなかで、エンターテインメント分野の我々だけでは手が届かないところがあります。そこにいろいろな業種のスタートアップのテクノロジーやアイデア、スキルを仕組みとして取り込んでいく狙いがあります」(吉本興業担当者)。

吉本興業が得意とする芸人やタレント活動による情報発信や拡散、イベント出演などによる地域活性化は、1つの大きな役割を担っている。しかし、それは地方創生の一部であり、一過性にとどまらない持続的な経済活動を行う地場ビジネス創出といった面においては、事足りていない実態がある。

それはここ数年の吉本興業の経営課題のひとつでもあるだろう。今年3月に開局したBS放送局(BSよしもと)もそこを補強するツールとしての側面があるが、今回のプロジェクトもこれまでの地方創生に新たな仕組みとリソースを取り込み、連動させることで強化する狙いがある。

今後は全国にも拡大予定

まずは大阪で実験的にスタートした本プロジェクト。今回のイベントを雛型として、全国各地の特性によって内容をカスタマイズしながら、先々にはスタートアップ支援と地方創生をリンクさせていくことを展望として掲げる。

秀吉会の代表を務めるi-plugの代表取締役CEO・中野智哉氏は、イベントを終えて「初めての取り組みでどうなるか不安もありましたが、芸人さんと関西スタートアップのパワーが融合すれば、すごくおもしろいものが生まれると実感しました」と手応えを掴んでいる。

また吉本興業にとっても、スタートアップとの初の取り組みになった今回の枠組みに関して、中野氏は「企業と芸人さんのコラボでは、企業側がクライアントになる関係性が多い。そうではなく、同等の立場でパートナーとしてやっていくことが新しいお付き合いの形になり、双方のメリットになることが生まれていくはず」と熱い期待を寄せた。

こうした異業種コラボは意義のあることだが、一過性にしない継続的な取り組みや、その後も双方の発展につながる仕組み作りが大事になる。

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